「あのさ、これオフレコなんだけどね」。そう言って唇に人差し指を当てて喋ろうとする奴がいる。「いいよ、オフレコの話なんか聞きたくないよ。俺おしゃべりだから」と亭主。
「いやさ、ここだけの話なんだけど・・・」。彼は自分は知っている〝秘密“を喋りたらしい。俺はなんでも知っているんだというようなことを知らせたいらしい。
「オフレコ」。この一種の業界用語はいつの間にか巷にも蔓延しているような。
旧聞に属するかもしれないが、防衛庁の田中前防衛局長の沖縄での「オフレコ」発言。一部マスコミや著名なジャーナリストの中には彼を「擁護」する向きがある。オフレコ破りをした記者に非があるとする。
亭主の経験と見解。「オフレコとは破られるためにある。書かれるためにある」。
書かれたくないことなら言わなければいい。言うってことは書いてくれってことに等しい。ただし、出所不明で。
オフレコと称して何かしゃべる、少なくとも政治家や官僚に関しては、そこに老獪なマスコミ操作の意図がある。観測気球然り。リーク然り。
書かれることに意味があるのだ。そして、ネタを欲しがるマスコミを「味方」にしようとする意図も。
オフレコでも何でもいい。ネタをくれるところにはマスコミは集まる。いくら夜打ち、朝駆けしても何もしゃべらない政治家のところには誰も寄らなくなる。
そして言う。「あれはブリパンだから行ってもしょうがない」と。ブリパン。ブリキのパンツ。固くて破れないっていうような意味。
田中前局長のオフレコ発言。例えが悪かった。でも彼はどこかでその真意を書かせたかったのかもしれない。
オフレコ破りはルール違反。そんな簡単な言葉で言えることじゃない。ダイレクトコートしただけじゃないの。
政府首脳は官房長官、政府筋は副長官クラス。業界なら誰でもわかるニュースの出所。
ここ数年はやったのが関係者。検察のリーク。誰も咎めないのに。
書いた琉球新報に一票。
思い出した不愉快な発言。松本龍なる大臣が宮城県庁に乗りこんで知事に罵詈雑言。あげく「この話はオフレコだぞ」。東北放送が放映し、各マスコミもけしからんと書いた。松本龍は確かにオフレコだと言った。しかし、それを報道したことを誰も咎めない。
永田町や霞が関ではきょうも「オフレコ懇談」が行われているかもしれない。そして福島県についてのオフレコ発言があるかもしれない。
「もうあそこは帰れない土地だけど、土地を取り上げる前に取り上げるぞとは言はない」というような・・・。
2011年12月12日月曜日
“チェルノブイリ”異聞
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