今朝―。「ピンポ~ン」とドアチャイム。開けてみたらなんと仮設に住む川内村から避難してきているバアチャン。
「いやあ、御無沙汰。いろいろ世話になったない。気持ちだけお歳暮」。お歳暮の“のし紙”ついた洗剤のセット。こういうのって目茶苦茶嬉しいんですよね。
バアチャンとはちょっと御無沙汰。気になっていたところであり、渡そうと思っていたところであり。
「ちょっと上がっていけよ」。「いや今表で娘待たしてるから、こんどゆっくり来る」。
「どうしてる?パチンコばかりやってるんじゃないだろね」。「やってないよ、あはは、たまには行くけどね。目の前にあっから」とペロリと舌を出して。
「これ、持っていこうと思ってたんだよ。使って」。手編みのひざかけ。東京の親戚が送ってきてくれたもの。「避難してきている人にあげて下さい」とのことで。その他手編みのポシェットやキャップ。「表で遊べない近所の子供さんたちにあげてください」と。
子供たちには普段着のサンタさんやってきましたが。
「なんだべ、手編みじゃないか。暖かそうだね」。
「じいさんにでもやってくれよ」
「いやだ、やんねえ」。オレ使う。
「仮設は寒いかい」
「そんなに寒くはないよ。炬燵配られたけど、もう前に買ってあったんで。くれるなら早く言ってくれれば買わなかったのに」。
「それよりもさ、オレ〝日個“は4人になってしまった。何か買ってうあやねばなんないべ。たいへんだよ」と嬉しそう。はい、こっちではひ孫のことを”ひこ“と言います。
「じいさんどうしてる」
「このごろ週に2回デイサービス行って風呂さ入って帰ってくる。出て行ってくれた時は助かるよ、あはは」。
「そのうちまた来っから」そう言ってバアチャン颯爽と帰っていきました。
川内村と言えば、友人から貰った焼酎「十六夜」。川内村の天然地下水を使った焼酎。作っていたのは双葉町の富沢酒造店。原発からわずか3,5キロにあった酒蔵。この酒蔵の名物が清酒「白富士」。社員あげて避難して、警戒区域指定前と、一時帰宅と時に持ちかえってきた白富士の酵母。会津若松の老舗、花春酒造の社長が申し出た。「遠慮しなくていいから、うちの蔵使って酒を作って」と。
先日、その白富士が見事出来上がったという。300年の歴史を誇る銘酒が。
搾りたての舟口酒試飲して、一家そろって泣いたという。こういうのを“絆”って言うんじゃないかな。
川内村のバアチャン、その焼酎の事は知らなかった。よし、じいちゃん交えていっぱいやっぺ。
白富士も呑んでみたい。一口でいいから。
2011年12月19日月曜日
“チェルノブイリ”異聞
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