何かのコラムで懐かしい言葉に出会った。ジャーナリストから政治家に転身して、フランスの首相になったジョルジュ・クレマンソーの名言。
「ポアンカレは何でも知っているが、何もわからない。ブリアンは何も知らないが、何でもわかる」。
ポアンカレはクレマンソーに首相を乞うた大統領。ブリアンは彼の後の首相。
日本の政治家にこの言葉を当てはめたことがあった。
「宮沢は何でも知っているが、何もわからない。田中角栄は何も知らないが、何でもわかる」と。
宮沢は東大出身の大蔵官僚。毎朝読む新聞は英字紙。知識は凄かった。しかし、政治のことは分かっていなかった。
田中角栄は宮沢を評して言った。「所詮は公家の学問」と。
片や田中角栄。中卒の土建屋あがりの政治家。学問の無い事の”コンプレックス“を見せつけられたことがしばしばあった。内容は書かないが。
何もといえば大袈裟だが、知らなかった角栄は政治のことは分かっていた。その要諦を。決断と実行。彼の信条だった。
今の政治家にこの言葉をあてはめる気はさらさら無い。例えるのもはばかられる。
だから代わりに当てはめる。
「専門家は何でも知っているが、何もわかっていない」と。そして続けたい。
「農民は何も知らないが、何でも分かっている」と。
何も知らない、知らされていないけど、生きる術は分かっている。土のことは、作物のことはわかっている。
わかっているがゆえに苦悩している。
2012年2月11日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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