2012年2月27日月曜日

「投書」への腹立たしさ。

新聞には読者の投稿欄というのがあり、毎日、読者の投書が掲載されています。世相を見るに格好のものと思っています。

今朝の朝日の投書の一つ。東京杉並区の66歳の男性の投書、投稿。

見出しは「がれきの他県への拡散に不満」。
その要旨は・・・

震災がれきの受け入れを被災県以外の自治体に細野環境相が強く要請したと報じられた。しかし、安易な要請は納得できない。政府は、自治体に要請する前にどれだけの努力をしたのか。
こんな書き出しで始まり、がれきは被災現場で最大限処理しろ。そのための最新の処理施設を現地に新設しろ。がれきの量の意味のない計算をしている。放射性物質管理の原則は圧縮して保管のはずだ。ブルーシートで覆えば、さしあたって空間線量は低くなるであろうが、私たちが心配しているにはそんことではない。何年、何十年の間に放射能が地下水を汚染したり、大気中に飛散しないかということだ。政府はこれらの不安に対してこそ、説得力のある対応をとるべきだ。

この論調理解出来ますか。被災地以外の自治体に処理を依頼しているのは「原発もの」でななにのです。津波に流された家屋や建物の瓦礫なのです。あのうず高く積まれたがれきなのです。そこには「害」を与える放射性物質は無いのです。福島の瓦礫ではないのです。宮城・岩手の瓦礫なのです。

彼の真意はわからないし、認識もわかりませんが、他自治体に運び込まれ処理された瓦礫が、どんな放射能被害を与えると言うのか。知識を疑います。そして、その考えや価値観を。政府のせいにして実は被災地に対してとんでもない「差別意識」を持っている。

福島県は瓦礫はおろか、土壌なども含め、除染で出たものを他県に・・・なんて思っていません。仮置き場を作り、それが自宅の庭であろうとも、他人になるべく迷惑をかけない。しかも、中間地蔵施設の建設をめぐり、避難町村の間で、多くの軋轢を生じさせながらも、受け入れを甘受しようとしているのです。

無知も甚だしい。いい年こいた男が。

投稿の最後の二行。「自らの無為無策を棚に上げての協力要請は腹立たしい」。

俺はあなたの意見が腹立たしい。

いわずもがな。瓦礫を処理しないと宮城や岩手の復興は成り立たないのです。あの瓦礫の山をあなたは見ましたか。あの瓦礫に含まれているそこにいた人たちの「思い」を感じましたか。あの匂いをかぎましたか。

たしかに、復旧・復興・原発処理に関して政府は無為無策かもしれません。ただ、そのことを盾にとって、政府を攻撃しているようなふりをして、被災地の人達をどれだけ傷つけるのか。
政府が無為無策なら、その政府を選んだ国民が、やれることをやりましょうよ。何が出来るかって。思いやりと他人を思いやるこころ。自分さえよければと思っていませんか。
「負の分配」。それが日本国民に課せられているのです。

投稿者の真意を誤解しているのかもしれませんが、僕にはこの文面から「好意」は全く読みとれない。そして、なんで、こんな投稿を掲載したのか。朝日の担当者の気持ちが理解できない。多くの投書がある中で、これを採択した理由が。

公平な意見の羅列ということなのでしょうか。市民の声として活字になって発せられた言葉や意見は、それなりの「権威」を持ってしまう。そして、瓦礫受け入れ反対運動家たちの動きに火をつける。

再び、投稿者の言葉を使わしてもらい、お返しする。「腹立たしい」と。

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