なでしこ達のオリンピックが終わった。彼女たちを見ていて思うこと多々ある。
試合には負けた。悔し涙を流した。泣いた。その涙の理由の一つに「ノリさんの首に金メダルをかけてあげられなかった」ことがあるとメンバーの誰かが言っていた。
佐々木則夫という監督が名采配をふるったのか、技術力を向上さえたのか、それはわからない。何よりも彼が優れていたのは、メンバーの選手たちを一つにさせる力を持っていたことではないだろうか。
そして、真のスポーツマンシップを植え付けさせたということでなないだろうか。
一つ・・。それについても選手は言う。「もうこのメンバーで戦うことは無いのが悔しいし悲しい」と涙の訳を語る。
試合後、彼女たちがとった行動。アメリカの選手のところに行き、勝者への祝福を忘れなかったこと。これこそが彼女たちの真骨頂なのだと。それを教えたのもノリさんだったのかもしれない。スポーツは人間を育てる。相手を称える心を持っている。それが日本人の精神なのだと。今はすでに無くしてしまっているこころなのだと。
ワールドカップの時、岩清水が掲げた日の丸には、被災地の人からのメッセージが所せましを書き込まれていた。
アメリカのワンバックもモーガンも、被災地に激励に訪れている。
そんな光景が余計に女子サッカーにのめりこませてくれた。
もちろん多くのスポーツ選手も被災地を訪れていたが。
なぜノリさんが選手を一つに出来たか。それは目線が彼女たちと同じ位置にあったからではないか。千人規模の村民の心を一つにするのは至難の業だが、どこか飯舘村の菅野村長とイメージがダブる。
とにかく、ありがとう。この一語しかない。彼女たちに贈る言葉は。
ロッカールームで泣くだけ泣いて、表彰台の上ではピースサインをしようと話し合い、満面の笑顔で観客に応えていた。うたれる。泣くだけ泣いて、笑顔に。それは、去年避難所で見た光景と重なる・・・。
こんなに慕われたリーダーを見たことがない。
オリンピックを他所に繰り広げられている政争。不信任案案をめぐり、民主党からも“造反者”を出し、自民党も“造反者”を出した。野田も谷垣も慕われてなんかいない。忌避されている。
そして「近いうちに」という5文字をめぐって、マスコミまでもがその“解釈論議”にうつつを抜かしている。ばかばかしいにもほどがある。
政界の話をちょっとだけ。与野党合意。そこにはいつも、自分たちに都合がいいような“玉虫色”っていう解釈がある。足して二で割るという“法則”がある。要は、どうでもいいこと。消費税法案をどうでもいいと言っているわけではなく。
昔、江崎真澄という自民党の重鎮がいた。かれに付けられたあだな。「近メシ」の江崎。「近いうちメシ食おう」を誰彼となく連発。そして、そのほとんどが実現していない。いつしか誰もその社交辞令を信じなくなった。
はい、亭主もその“被害者”の一人でしたが・・・(笑)。
昨日書いた福島県知事の東電への要請。「健康に影響ないと言ってくれ」。県は全面否定している。「知事に発言の記憶なく、職員も知事から発言を聞いたという記憶は無い。文書や記録もない」。
「記憶」。それはその人が体験した、経験したことを指す。無いというのは忘れたということに等しい。なぜなら「記憶が蘇った」ということが多々あるではないか。言葉をめぐるへ理屈のようだが。
ロッキード事件の証人喚問で有名になった小佐野賢治の証言。記憶にございませんの連発。記憶にないということは“嘘”に等しいと皆が思った。そんな記憶がよみがえる。
ならば、東電の福島事務所長が知事の名前を勝手に使ったということか。
福島県知事も、今や忌避すべき対象となってしまった。
なでしこ達は明日にも帰国する。こころから歓迎し、労をねぎらい、この日に至るまでの生々しい記憶も聞いてみたい。
メダルの色は関係ない。やるべきことを一生懸命やったかやらなかったかだ。
金に良しという字を書くと「銀」になる。金に同じと書くと「銅」になる。
為すべきことを為したかどうか。為したことが人に感動や感激、力をあたえたかどうかだ。
オリンピックと高校野球と。まだまだ感動を貰える機会を我々は持っている、与えて貰っている。
2012年8月10日金曜日
“チェルノブイリ”異聞
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