その記事にケチをつけるつもりもなく、読み飛ばしておけばいいことであり、書いている記者の“努力”を揶揄する気もないのですが・・・。
と言いながら今日も読んでいる・・・。
朝日新聞に連載されている企画。「プロメテウスの罠」。去年の10月から毎日書かれているいわゆる調査報道。
連載当初から“興味”を持って読んだ。時には「おや」と首をかしげたくなるような、特に放射線のくだりでは疑問を感じる時もあったが。
何人かの記者による連載。当然企画会議などでその意図などは検討されているのだろうが。
先月、吹流しの町でーーというようなタイトルのシリーズがあった。原発事故後の三春町のことを検証した記事。爆発後、三春町には多くの避難者が。そして三春町では線量をはかって安定ヨウ素剤を配り、町民に服用させたという内容。その中に登場してくる人物。新聞の切り抜きはしていないので、記憶だけだが。
主人公は深谷副町長。脇役に大熊町から非難してきた人が登場していた。その人は旧知の人である。ある会合で顔を合わすし、震災後のシンポジュウムでも一緒にパネラーをやってもらった。学者肌の人物。
三春に到着後パソコンで、各種のデータを入手し、放射線の飛散具合や飛散方向などを調べ、町に提供し、助言にも努めたという。
そのシリーズに彼は、彼の名前が何回も登場する。いわば“英雄”の一人として。
先日、彼と会う機会があった。30分ほどゆっくりその記事について話をした。そして驚いた。
「あれを書いた記者さんとは一回もあっていません。取材も受けていません」。
彼は”悪く“書かれているわけではない。“良く“書かれている。しかし、彼は憮然とした面持ちで、その不可思議さを言う。
「きっと三春町の誰かが私のことを言い、そのまま記事にしたんでしょうね」。
名前を書かれた人が、取材を受けたことがないという。とすれば、それは伝聞に基ずく記事ということになる。
直接あたる。記者の基本のはずだが・・・。
詳細な経緯は知らないが、この話を隣で聞いていた人がいう。「なんでマスコミは嘘ばかり書くんでしょうかね」と。
そう言われるのが一番嫌なのだ。「嘘ばかり」と言った人は医者。たぶん、去年の原発事故以来、患者との話の中で出てくる放射線量の影響について、彼の知見とメディアの論調に違和感を持っているからだったのかもしれないが。
マスコミに着せられる「汚名」。それだけは無くすような、それが大変な作業であっても、労苦を惜しまずに、汚名をそそぐ報道であるように願う。
ギリシャ神話には「カサンドラ」という女姓が登場する。予知・予見する能力を持った者として。悲劇の予言者ともいわれる。彼女が好き勝手に噂話をばらまくことに怒った神は言う。
「カサンドラの発言を誰も信じるな」と。
それはやがて「トロイの木馬」の話につながっていくのだが・・・。不信は不信の連鎖を生む・・・。
2012年8月25日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...
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新しい年となった。雪の中だ。 良寛の詩作を引く。「草庵雪夜作」の題名。 回首七十有餘年 首 ( こうべ ) を回(めぐ)らせば七十有餘年 人間是非飽看破 人間の是非看破(かんぱ)に飽きたり 往来跡幽深夜雪 ...
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