きょうも寝不足です。もちろんオリンピック、サッカーを見ていたから。
出来るだけ早寝を旨としている亭主も、真夜中のテレビ中継にかじりついている。
日本中、いや世界中が今はオリンピックをいうスポーツの祭典に目を凝らし、それを楽しんでいる。そこに理屈はいらない。
オリンピック中継でテレビは視聴率を稼ぐし、さまざまな番組もオリンピックもので埋まる。新聞もオリンピック報道に躍起となっている。
被災地でもオリンピックは大きな関心事だ。郷土出身の選手もいればゆかりの選手もいる。その人達に寝る間を割いて声援を送る。その瞬間は一つになっているという自分たちを確認出来るからであり、そこから何かを得ることで、次のステップに進む足がかりにしようとしているのではないか。もちろん、そんなことを意識しているはずもないが・・・。
オリンピックに国中が躍起となっている時、そう、それは一種の“目くらまし”なのだろうか。政治の世界ではまったく別の“ゲーム”が進行している。
政局ゲーム、政局ごっこ。子供だまし(子供におこられるだろうが)のような愚にもつかない駆け引きと足の引っ張りあい。
絶好のチャンスなのだ。マスコミの目もオリンピックに張り付いているのだから。批判の的がこっちには向かってこないだろうと・・・。
そこには何の因果関係も無い。昔話だけど。もう具体的事象や日にちは忘れたが、たとえば「倉石農相発言問題」なんていうのがあった。国会、予算員会は審議ストップ。そんな時、必ずと言っていいほど、航空機の墜落事件が起きる。
国会で自民党が強行採決をやって大混乱に陥っていると航空機事故が起きる。
政治報道は片隅に。政治記者も事故の応援に。余裕がある方いたら調べてみてください。不思議に重なっていたのです。昭和の時代ですが。
福島県紙もオリンピック報道に精を出している。話題を提供している。原発がらみの報道は“静か”になっているような。
中間貯蔵施設の問題もいっこうに前に進まない。それが解決しないと除染ははかどらないのに。
「仮の町」をめぐる議論もとん挫したまま。
県知事は、県の職員は、何も決めていない。決められない。伝わってくるのは「国に要望します、しています」といった他人事のような言葉だけ。
県知事が、与えられた権限をフルに生かし、いや、たとえ法律上は権限が無いことでさえ、国を敵に回してでもやるべきことは山ほどあるはずなのに。
昨日の塾で、白州次郎の話をしたせいか、今、この国に、いかに「人」がいないかを痛切に感じている。
GHQに乗り込み、怒鳴りこみ、それに関係する時の権力者の前に飛び込み、机を拳で叩いて、この国の将来を危惧して論じた人がいたことを。
戦後にはいたのだ。まだそんな“武士道”の塊みたいな、しかし、それは欧米生活を体験した上での、プリンシプル。ノブレスオブリージュ。位高きものの責務を説き、迫った男が。そう戦後・・・。
災後、震災後、真剣に、正しい意味での、この国の将来を、いや、明日を語った人がいかほどいるのだろうか。少なくも「リーダー」と称されている人の中では皆無だ。
戦後、財閥解体という占領政策があったにも関わらず、国のために物を申し、国論を高めた人物もいた。今はいない。
論壇はどうだ。インターネットというツールというか、優れた情報伝達手段を手にしながらも、そこに飛び交っている言辞は全くの不毛の論争や挙げ足とりでしかない。既存メディアに属さない“言論人”なる人達も、ネットでやっていることは、手前味噌の「自己宣伝」だけ。
オリンピックを目くらましに使うなよ。目くらましに使われるなよ。
“祭典”に隠れるように進行している愚行の数々、不作為の数々。国を論ずるもののいかに少なくなったことか。影響慮力を失ったことか。
日米開戦を阻止すべく身をアメリカに置きながらも、血を吐くような努力と論陣を張った福島県人のことが思われる。朝河寛一。
彼の足跡は、その研究会という場でのみ、時々静かに語られているのみ・・・。
2012年8月8日水曜日
“チェルノブイリ”異聞
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