とにかく安倍内閣が発足した。嫌だと言おうと、なんと言おうと、我々は、この内閣に束縛され、その意の中で暮らしていくことになる。
組閣について、まともな論評は、マスコミや“専門家”を称する人たちに任せよう。もっとも「まともな論評」を出来ている人がどれだけいるかというと疑問だが。
亭主は相変わらずの斜に構えた巷談にて。
満を持していたというか、なかなか老獪な人事をやりおるな。それが第一印象。それは、閣僚名簿だけに非ず。内閣官房参与のあの飯島勲を迎えたこと。そして、人事を彼と協議していたということ。
怪僧ラスプーチンの面目躍如なりと。
小泉内閣当時、彼のマスコミ対策は“見事”なものだった。その手腕を安倍は得難い人材とし、また飯島はそれに応えた。
飯島を取材源にするマスコミは彼のところに殺到。彼独特の“操作”が始まる。リークという手法を駆使しながら。彼のところから出た情報が、マスコミを飾る。敢えて“偽”を言い、それを出させて反応を探ると言うやり方。
それはとりあえずは功を奏し、人事での表面だったもめごとは無かったということ。飯島を置いたことで、とりあえずのマスコミ対策は「万全」ということか。
これほどマスコミ各紙が“好意的”に伝える組閣は最近珍しい。それにしても旧態依然の報道。何内閣と名付けるかからはじまって、女性の数はとか、平均年齢はとか。相変わらず「お友達内閣」という呼称もつけられる中、安倍本人は「危機突破内閣」と意気込む。
舌下事件を起こすかどうかはともかく、昔の名前で出ていますって人から始まって。どこか「安定感」をマスコミに持たせる布陣。
組閣まで、マスコミの関心は、いわば「大物狙い」。復興大臣や原発担当相は、あまり関心が寄せられていなかった。福島県民は、その人事が一番気になっていたにも関わらず。
苗字の頭文字をとってNAISという“仲間”の一員、根本匠が復興大臣兼原発事故再生担当。
「地元を知悉しているから」とされる。知ってはいるだろうが・・・。
もし根本が「ドジをこいて」も、地元はなかなか不満を上げにくい。批判しにくい。なかなか匠だ。
石原伸晃を環境、原子力防災担当。うまくいかなければ、彼はつぶされる。石原がつぶれることは、安倍の“延命”につながる。どっちに転んでも安倍に“損”は無し。と踏んだのか。
原発事故対応含め、被災地復興の壁になっているのが官庁の縦割り行政。原子力と名を冠した担当が二人いるということのすみ分け。どうするのか。
農水省や国交省も関連官庁。
復興庁を強力なものとして、根本が剛腕を発揮できるか。期待するしかないが、いささか心もとない。
自民党員のある首長が言っていた。「平野さんはほんとよくやってくれた。彼には感謝している」と。それを思い出す。
政党ではない、政治家個人の資質も大きいのではないかと。
余談のようになるが、昔は組閣となると官邸の前庭にマスコミのテント村が出来た。まるで縁日の屋台のような風情。そんな光景も無くなった。新しくなったのか。いやそれは形というか光景だけ。やっていることは昔から変わらずの感。論功行賞って言葉もまかり通り、適材適所って言葉もまかり通り。
そしてもう一つ余計なこと。呼び込みで駆けつけた閣僚の頭は、上から映すテレビカメラで見ている限り、みんな黒々としていたのが、なぜか気になったということ。いや、なに、冒頭で怪僧ラスプーチンと書いたから。
いずれにしても、すべてはこれから。健闘祈るのみにて。