福島原発が作る電気が、延々と張り巡らされた送電線を通して、東京に供給されていたこと。東京の電気は福島で作られていたこと。
「3・11」後、そんな自明の事を初めて知ったという人たちが大勢いたということ。
大方の人がそれを知ったと思っていたが、なお、そんな“仕組み”さえまだ知らない人がいるということ。
今更原発立地の経緯や、その構図を言い募る気はないが・・・。
原発が無くてもとりあえず電気はまかなわれている。この冬場を迎えても、北海道では一部“電力不足”を危惧する声があるが、たの地域ではそれはもう聞かれなくなった。
しかし、まだ電気を必要とする人達がいる。
東京電力は、最新鋭の火力発電所を、福島県内に、原発の近くに二基建設すると発表している。
発電量100万キロワット。その電気も「東京」に送られる。完成は8年先のことではあるが。
原発事故があり、多くの避難者、悲惨な生活を送っている人が、いまだ「そのまま」であるにも関わらず、何がどうあろうと「福島は東京の電力供給基地」であるということ。
2Fの廃炉問題も解決していない中、それが火力であろうとも電力を供給するということ。
広野火発と勿来火力の敷地内に増設されるこの最新鋭火力発電所。建設費用は2千億円から3千億円。
表向きは東電には金が無いから、三菱重工業などで作る“特定目的会社”で設立するとか。しかし、実態は東電だ。
広野も勿来も、特に広野は避難指示解除準備区域のすぐ隣。環境アセスメント(影響評価)を地元自治体に早急に要望するとか。
東京への電力供給基地。あいかわらず「飴」も忘れない。
建設にあたり1日2千人の雇用が生まれるとする。
そして効率の良い発電所は電力を安く作れるという。
雇用を餌に、安いを売り物に・・・。
こうして、またもや「東京」は福島で生まれたものを収奪していく。そんな「思い」。
東京の繁栄のために、日本の繁栄のために、かつて若い労働力を奪った。
労働力の供給基地としての福島。
食料の供給基地としての福島。
電力の供給基地としての福島。
収奪の構図、社会システムは変わらない・・・。たぶん、永遠に福島はそうあり続けるのだろう。
原発の“ゴミ”、汚染された数々は福島に閉じ込めようとする。
雇用が生まれることを手放しで“歓迎”していていいのだろうか。
雇用が生まれ、人が集まり、町は賑わう。かもしれない。
それでいいのだろうか。
40年以上も前の原発建設の時の様相と似ているのではないか。
また「飴」に酔わされるような。
経済効果は1,500億円だと東電は言う。またもいわれる経済効果。
「経済効果」が何かを失っていかなければいいが・・・。
きょうから12月。街はクリスマス1色。電飾がまばゆい。灯りは人のこころを豊かにする。
しかし、いつもある“違和感”。LEDだというけれど、あれほど人工の灯りが夜の街を飾るということ。
それが虚飾に見えてしまうのは間違いだろうか・・・。
神が好むのは蝋燭のほのかな灯りではないのだろうかとも思いつつ。
灯りの街からは星空は見えない。星も決して姿を現さない。
2013年12月1日日曜日
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