車のキーをまわしてエンジンをかける。カーナビから声が。
「メリークリスマス、きょうは12月24日です」。
パソコンを開ける。グーグルのトップページ。
デザインはクリスマス。サンタクロース。サンタさんはいまどこに?グーグルカップで追いかけよう。
一昨年のクリスマスイブ。つまり今日。教会に行った。東日本を襲った大災害、惨事。多くの死者、残された生者。
人間の作った文明が科学技術が、原発事故と言う悲劇をもたらした。一昨年のクリスマスは多くの人にとって「特別なクリスマス」ではなかったかと思ったから。そこで、どんな話が宗教者から語られるのか。それを聞きたかった。
でも、残念ながらボクが行った教会では、ほとんど何も語られなかった。
大船渡市に山浦玄嗣という医師がいる。その人は震災前から聖書を訳していた。ケセン語の聖書。その土地の言葉、方言でなければ、聖書に書かれていることの意味が伝わらないと。
その聖書が発刊寸前、書店に届けられる前に、倉庫に置いてあったその聖書は津波に襲われた。
津波が引いたあと、その印刷所の倉庫に行ってみると、その一部は流されず残っていた。
ケセン語訳の聖書、“お水くぐりの聖書”は日の目を見ることになった。「ガリラヤのイェシュー」。その聖書のタイトル。
まさに方言で綴られた物語としての聖書。
多くの人が手にすることが出来るものではないが、その山浦さんという人のライフワークは、この時のためにあったのではないかとも思った。
幸いなことに、知人がその聖書を入手し、それを見ることが出来た。それは、一昨年のボクにとっては最高のクリスマスプレゼントだった。
その後山浦さんは「イエスの言葉 ケセン語訳」という新書を書いた。その帯封にはこう書かれている。
「2011年3月11日。大津波が東北の太平洋岸を襲い、万をもって数える人びとが亡くなったり行方不明になりました。わたしのふるさと(岩手県気仙地方)も甚大な被害を受け、陸前高田市は市街の全域が壊滅し、大船渡も市街地の半分が流されました。・・・・
でも、我々の魂までは流されません。日本中のふるさとの仲間にイエスの言葉をつたえようという望みはひと時も消えることはありません」。
きょうをピークに街にはサンタクロースが溢れている。スーパーの店員さんもサンタさんの帽子をかぶり、あちこちでクリスマスパーティが行われていた。いる・・・。
サンタさんは子供たちにとっての夢だ。今の時代は。ボクが子供の頃はそうでは無かった。マセガキの子供は母親がサンタさんだということを知っていた。枕元に靴下を置いて寝た、翌朝、些細なプレゼントが靴下に脇に置かれていた。
サンタクロースは一人しかいない。母親や父親は、サンタクロースからの”指令“を受けて、代わりにプレゼントを届けるのだ。
街には酔っ払いのサンタが溢れていた。泥酔したサンタ。どこかの飲み屋でかぶらされたであろう帽子、付け髭。終電に間に合うよう千鳥足のサンタは、駅の構内で売れ残り寸前のケーキを買っていた。
奇妙な光景だった。子供のころに垣間見ていたクリスマスイブの光景。
そして、増幅されていくクリスマス狂騒曲。大人になりかけの頃からか。クリスマスを忌避するボクがいた・・・。
だから、ボクにはいろんなクリスマスが“同居”している。ちょっとだけクリスマスを考え、自分の中にあるクリスマスへの“矛盾”と向き合っている。
時流に逆らいたくなる、いや、なって来た。
早く、この時期が過ぎ去ってくれればなとも。
災後、あらためて聴いたさだまさしの♪遥かなるクリスマス♪
http://www.youtube.com/watch?v=SCWryWdCd5s
貼ってみておく。
ボクは多くのクリスマスソングを知っている。教会で歌われるのものも、ジャズのスタンダードナンバーも。その荘厳な歌も軽快なリズムも。
でも、今、心に響き、涙ぐむのは、さだまさしの曲。
「メリークリスマス、僕たちのための平和と、世の中の平和とが少しずつずれはじめている。メリークリスマス、誰もが正義を口にするけれど、二束三文の正義。十把一絡げの正義、つまり嘘・・・・」。
日本の内閣は南スーダンの韓国軍に銃弾1万発を送った。クリスマスプレゼントではないだろうが・・・。
2013年12月24日火曜日
“チェルノブイリ”異聞
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