まことにくだらないことに意を用いるのもいかがかとは思いながら・・・。
毎度お馴染み「今年の漢字」。「輪」と大書されていた。一年を漢字一文字で現す。なんとも奇妙な風習が続けられている。
そんなどうでもいいことをマスメディアは格好の話題とする。政治家もそれに悪乗りする。
一昨日の夜9時のNHKニュース。トップ項目は延々とこの漢字について。
東京五輪が決まったから。富士山が世界遺産に登録されたからと外輪山の空撮。あげく、指輪に行きつき、“金の指輪”の話にまで。
あの日は与党の税制大綱が決まった日。伝えるべきニュースがあるはずなのに、トップで長々と「輪」。
次の日、つまり昨日の新聞、テレビを見てもこの話。単なる“話題”と考えるべき“ニュース”。
少なくともニュースということでは、NHKは「衆愚」に加担している。いや、その「尖兵」かも。
大本営発表のラジオ放送を思い出し、方言をも標準語化しようとした中央集権思想が浮かんでくるような。
いまだもてはやされている新語、流行語大賞。「お・も・て・な・し」。俺に言わせりゃどいつもこうつも「ろ・く・で・な・し」だ。
やたら指示を連発する上司。部下が言っていたよ。「うちの課内の流行語大賞は“お・も・い・つ・き”ですよ」って。
なんで「輪」という字にこだわるのか。
たまたまきょうあった講演。3・11で奪われた多くの死者。その日に生まれた、東北3県の赤ちゃんがなんと100人。福島県でも30人。あの揺れる中で、放射能の恐怖が言われる中で。
その子たちに「ひこばえ」と「ゆずリは」という言葉を送ったことを冒頭に話した。
多くの死者の「生まれ変わり」だと。そしてその子たちはもう2歳9か月になっているんだということを。
だから復興や支援の在り方も、当時と今とでは変わって来ている。今求められている支援は物ではなく心だという話をしてきたから。
そう、生まれ変わり。別に仏法を説くのではない。そこに「輪廻転生」という言葉が当てはまるのだ。
せめて、どっかのメディアでも、「輪」という字から、被災地を結びつけて欲しかったなと。
たしかに「支援の輪」というのもあると書いていた新聞もあったけど。もっと深く考えて欲しかった。
だから思う、考える。輪と言う感じがもてはやされ、流行語が飛び交うさま。それは一つの「言葉の同調圧力」めいた“空気”が、抜きがたくこの国を支配しているような感覚。
聖書のヨハネの福音書。
「はじめに言葉があった。言葉は神とともにあった。言葉は神であった。この
言は神とともにあった」。
その「言」という言葉を、方言としてのケセン語訳の聖書では「神様の思いだった」と訳している。
2013年12月14日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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