2014年4月24日木曜日

「クルミ」が消えた・・・。

焼き菓子を作り知人に送りたいといわれて、「くるみ」を買いに行った。
無い、無い、無い。この前の時はあったのに。

「なんかテレビでやってたらしいですよ。クルミは健康にいいというのを。一挙に売れました。一人で30とか50袋買っていかれる。メーカーも欠品だそうです」。馴染みの店員さんは呆れ顔。
「なんでテレビでやるとこうなるんでしょうかね。あまり売れていなかったものなのに。ばかばかしくなってきますよ」。

店の方でも、売れることを必ずしも喜んでいないのだ。


またか・・。

テレビが「健康にいいもの」をやると、必ずと言っていいほど、その商品はバカ売れする。店頭から消える。

なんだろうこの現象。

午前中のテレビは健康器具の通販番組、健康食品の通販番組。適度な演出を加えて。

そして夜はからだいにい、健康のための食べ物を。
しかもご念がいっている。必ず番組に白衣を着た医者を登場させ、その効能を“実験”も交えてやる。

翌日、その物は店から消える。買いだめされる。

クルミの焼き菓子を楽しみ待っていた人は90歳を越えた人。その人の楽しみは失われた・・・。

テレビが火をつける“同調行動”。

くだんの店員さんはいう。どうせいっときですよ。すぐに飽きられますから。

見抜いているね。そのばかばかしさを。

世にいう”平和ボケ“的現象か。

4年前、土壌の放射能汚染を防ぐため、除去するためにはひまわりが最適といわれた。こぞってひまわりが植えられていた。

その次も何やらがいいとテレビで偉い先生が言った。皆、買占めに走っていた。

バナナがいいといえばバナナは無くなる。値が上がる。

別にテレビの方は煽っているつもりではないだろう。でも、健康ものは数字が稼げる。
手を替え品を替えての健康、健康。

踊らされているとしか思えない消費行動。

大震災後、原発事故後。日本中で商品が無くなった。店頭から。
水はその典型。

東京であったこんな話を思い出す。
赤ん坊を連れた若いお母さんがミルクを飲ませる水をスーパーに買いに行った。

お一人様一本とされていた。残りは僅か。ようやく200ミリリットルのペットボトルを手に入れレジに並んだ。
その人の前には若い男性が並んでいた。ミルクがほしくてむずかる赤ん坊。

レジを通ったあと、その男性が声を掛けてきた。
「僕のと交換しましょう」。その人は500ミリリットルのペットボトルを持っていた。

500のボトルを押し付けるようにして、200のボトルを持って去って行った・・・。

そのお母さんは子供が大きくなったらその時の話をするのだという。
「その人のおかげであなたは大きくなれたのよ」と。

徒労に終わったくるみの買い物。楽しみを奪われた90歳の知人。

春は憂いを伴てやってきているような・・・。

春候鬱々として晴れず。
kurumi

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...