2014年4月4日金曜日

なぜか「昭和」のものがたり

友人が本を届けてくれた。著者と知り合いらしい。
「昭和・東京・ジャズ喫茶」という本。著者はシュート・アローというペンネーム。昭和56年に大学に入り、バンドをやり、当時のジャズ喫茶を“徘徊”していた人だという。

早速読んでみた。思考が、頭の中が50年以上前に逆戻りする。
その本にあるジャズ喫茶のほとんどを僕は知らない。知ってる店もある。水道橋のスイング。よく通った店だ。学生時代。そこで村上春樹がバイトしていた。それは後日知ったこと。作家を本業とする前は、吉祥寺あたりで「ピーターキャット」というジャズ喫茶をやっていた。それも知っていた。
郡山の親友が、当時吉祥寺のレコード店で働いていて、村上春樹はそこの常連だったということから。

学生時代。朝、家を出る。お茶の水の駅を降りるとそのまま名曲喫茶に。昼、学食に行ってカレーを食い、午後は近くにあったニューポートというジャズ喫茶へ。夕方水道橋まで電車で行ってスイングに寄り、富阪の練習場へ。

土日は渋谷か新宿。仲間と一緒に。スイング、オスカー、木馬、ダット・・・。ジャズ喫茶めぐり・・・。そんな日々。

ジャズに飽きた時、神田錦町にあった店に行っていた。名前は忘れたが、そこはナットキングコールの曲だけ、朝から晩までかけていた。いつもかかっていたのが「スマイル」。

女子フィギアスケート。浅田真央がこの曲を使っていた。♪SMILE♪
サッチモの♪What a Wonderful World♪とミキシングして。

“スマイル たとえ心が痛んでも、スマイル、たとえ心が引き裂かれても
空に雲がかかっていても、大丈夫 微笑めば 悲しくても怖くても
微笑めばきっと明日は 人生まだ捨てたもんじゃないと思えるんだ・・・・“

そんな歌詞の曲だった。

チャップリンが作曲したもの。あの時代の“文明批判”。そしてナットキングコールが詩をつけ、娘のナタリーコールも歌い・・・。
マイケルジャクソンだって子供たちに囲まれて歌っていたこの曲。

勝手に想像する。真央ちゃんがこの曲を選び、なおかつ素晴らしい世界をも重ねたのは・・・。そう東北への応援歌だったと。

SMILEは微笑み。LAUGHでは無い。

「微笑みは涙をこえる」「微笑みに勝る化粧なし」
「悲しみは残酷だけど、微笑みは涙をこらえる」

そんな言葉が避難所に張り出されていた時もあった。

ほとんど、原詩に忠実な訳詩。さらに続くー。
“もし、微笑めば光が差込み、哀しみの影を全部消してくれる
涙が近くに迫ってきても そんな時こそ 頑張る時だよ
微笑もう 泣いたってどうにもならないんだ 人生はまだまだ価値があるってわかるんだ“

静かなメロディーのなかの囁くような歌声。

やばい。時計の針が逆戻りだ。昭和という時代に・・・。思い出が「ものがたり」を紡ぎそうでやばい・・・。

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