2014年4月6日日曜日

なぜか「昭和」のものがたり その3

2011年4月。塾は休講にした。第二週の火曜日。塾生が集まれるかどうかわからない。何を話せばいいのか考えがまとまらない。

講義はしないけど、集まれる人だけ集まろうということになった。ほとんどの塾生が集まって来た。塾生の一人がギターを持ってきた。みんなで歌を歌いましょうと。

歌った曲の一つが♪見上げてごらん夜の星を♪。

その歌は、昭和の時代、昭和を象徴する歌。東北の各地から集団就職で東京に多くの若者が“運ばれた”時代。その若者たちの胸中を思い、故郷にはせる思い。その若者たちへのエールとして作られた曲だと聞いていた。上を向いて歩こう、と同じ趣旨で。

歌いながら塾生たちは泣いていた。泣きながら歌っていた・・・。

柳 美里が最近書いた本。「JR上野駅公園口」。1933年生まれの主人公。
福島県の南相馬の“水のみ百姓”の家に生まれ、出稼ぎだらけの人生。

柳 美里は「3・11」の1年後から南相馬の災害FM局でパーソナリティーの仕事をしているそうだ。

以前からあたためていた構想に「3・11」が重なり出来上がった小説。

出稼ぎ、上京、帰郷、出稼ぎ。息子を亡くし、妻も亡くし、上野公園でホームレスをしていた日々・・・。

なんの脈絡も無いが、昭和の社会構造と、東日本大震災を経験した平成の東北が、どこかでクロスする・・・。

東北新幹線がまだ上野が終着駅だった。福島に来たのは。
上野駅、何回降りただろう。乗っただろう。

上野駅は昭和も平成も知っているんだよな。

坂本九の歌が、昭和の歌を連想させる。ジャズではなく。

悪気の全く無い“冗談”だ。歌詞の読み替え。
昭和の歌は、今の歌だといってもなんの無理筋では無いということ。

神田川・・・。

「三畳一間の小さな下宿」を「4畳半一間の小さな仮設」に置き換え。

傘がない・・・。

「都会では自殺する若者が増えている」を置き換える。

「仮設では自殺する年配者が増えている・・・・」と。


中島みゆきの♪時代♪

“今はこんなに悲しくて 涙も枯れ果てて もう二度と笑顔にはなれないけれど
そんな時代もあったねと いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ
だから今日はくよくよしないで きょうの風に吹かれてる

―――きょう倒れた旅人たちも生まれ変わって歩き出すよ

めぐる めぐる時代はめぐる・・・。


昭和の歌は今の歌ではないか。昭和という時代は、いい歌をいっぱい生み出したんだな。

昭和生まれの若者たちと、昭和の歌を一緒に歌っていたこと。

4年前の今頃の“記憶”なのです。

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