「国民の皆様に対して重要なお知らせがあります」。なんという仰々しい切りだし。すっかり「私は辞任します」っていうのかと思いきや。昨日の午後7時10分前後。
「国民の皆様の安全と安心のために浜岡原発の4号機と5号機の発電中止を中部電力に対して要請しました」。なんだい、こりゃ。理由は・・。「文部科学省の地震調査研究推進本部によれば、ここ30年以内に、この地域を震源とするマグニチュード8の地震が起きる確率は87%という切迫した状況にあります」。
この確率って以前から言われていたこと。きのう、きょうの話しではない。
思わず叫んだ。またもややってくれた菅の思いつき、その場しのぎ発言と。
亭主は原発推進論者ではありません。賛成か反対かを問われたら概念としては反対です。経験としても反対です。
東京電力発電所。福島第一、第二。女川、六ヶ所村、東通村・・。視察、見学に数回行きました。もちろん”健全”であった時ですが。
正面入り口を入ると敷地内には色とりどりの草花が咲き乱れ、美しい光景でした。海の波は穏やかで、陽光に輝いていました。受付ロビーのようなところでは綺麗な制服に身を包んだ美しい女性の笑顔が迎えてくれ、安全性をPRするビデオが流され、地域の子供達の遊び場もあり。
建屋の中に入ると雰囲気は一変します。カードを差し込んで何重にもゲートをくぐり、あの防護服みたいなものに着替え。出入りの際はサーバーメーターのようなものをくぐっての放射線チェック。作業員も全員が防護服。放射線管理区域や立ち入り禁止区域は数知れず。
やはり怖い場所でした。電力需給の説明をされても図を見せられても、「要らない」と思った記憶があります。「テロ対策ないよね。テロがあったらおしまいだね」。同行者と交わした会話を覚えています。巨大津波には思いは至りませんでしたが。
浜岡原発。中止には賛成です。
しかし、それが菅の口から得意そうに発せられると、ものすごい異和感に襲われるのです。国民の安全、安心を言うなら、いきなりこの時期に浜岡ではなく国の原子力政策をどうするのかをきちんと言うべきなのに。それには言及全く無く。
「確率87%、切迫」。この言葉は、今、まだ余震の恐怖さめやらぬ東北の人間の不安感をより掻き立てます。「気象庁は極秘の情報を持っている」と。やはり来るんだと。東北では一日に20回近くの余震が続いているのです。
静岡県知事や社民党党首は英断と評価しています。テレビに出てくる、いや、急に出てきた、人選の経緯不明の専門家と称する人たちもこぞって英断、英断とほめそやします。
停止させても、いったん「燃え」た核物質は、相当の期間燃えています。冷却プールに入れても冷えません。数年間は。停止したから明日からは安全。とんでもない。
あえて言います。政権維持、自己保身のための停止要請と。政治的思惑ありでの停止と。
世論調査ではまたまた菅政権の支持率上がるでしょう。小沢の影は薄くなる。自民党は攻めあぐねる。
原発をだしにした姑息な政権延命策。「この発表を機に引退ってことじゃないの」。隣でテレビ見てた人の感想。とんでもないと言ったら途端に無口になった。
遅々として進まぬ福島県民への対策。やることの愚策に次ぐ愚策。福島県民は人身御供だったのか。
東電についで中部電力もたぶん「計画停電」を言い始めるでしょう。強烈な脅し策をとるでしょう。名古屋はパニックになるかも。
浜岡原発管内の市民は戸惑っています。ビジョン無き場当たり発言は経済活動へ多大な影響与えるでしょう。それには言及無し。
為政者としてやるべきことか、言うべきことか。
菅礼賛を叫ぶ、つぶやくツイッター族ってなんだい。勢いづく反原発“運動家”。遠く安全なところに身を置いて「反対、反対」だけ言って事足れりとしょている市民運動家やそれへの同調者。
昨日の記者会見の後、菅は仙石とともに赤坂のホテルの中華料理へ。何を食べたのか。石巻の酒飲んだのかい。福島の牛肉や野菜を食べたのかい。無いでしょうね。紹興酒で乾杯。「いやいや。これで安泰ですな」。知恵袋とともに”勝利”の美酒か・・・・。保身の具にされる原発。国民の安心、安全発言。それを欺瞞と言わずしてなんという。
2011年5月7日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...
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