2011年5月16日月曜日

五月の心地よき朝に

郡山の発展の原点は安積疎水(あさかそすい)にあります。郡山開拓史です。猪苗代湖の水を郡山まで通した。全国から多くの開拓民を迎え入れ。その名残の地名は随所にあります。安積疎水の完成によって、荒れ野だった郡山は肥沃な大地に生まれ変わりました。

今度の大震災、すぐには気づかなかったものの、安積疎水の水路が各所で決壊していたそうです。水が市内まで来ないことが作付けを遅らせていた一つの原因だとも。

家の周りの田んぼ。きのうでほぼ水張りが終わりました。田床が撒かれるのを待つのみ。カモが餌をついばんでいます。蛙の鳴き声もきこえるようになりました。

田んぼの水を満たすのに時間がかかっていました。水量、水流れが例年とは違っていた。やはり疎水の影響なんでしょう。市内の一部では水路復旧ならず。今年の作付けを断念した農家がかなりの数あるそうです。

申し訳ない。五月の爽やかな風、田をわたる風。心地よき五月の朝を味わってしまいました。だけども子供の姿は見えません。あぜ道を通って登校していた子ども達の姿は完全に消えました。

今日の郡山。たぶん大気中の放射線量は1,4ミリシーベルトくらいでしょう。一時間当たり。もう数値を気にしないことにしました。以前は毎日、県のホームページで毎時を見ていたのですが。大気の数値は一時よりだいぶ減ってきています。発表されている限りは。気にしてどうなる・・・。

作付けに入る農家の人は、一日中、この放射線量の中に身を置き農作業にいそしみます。放射線量を気にしているのか、いないのか。意に介しているのかいないのか。
「こんなこと、いちいち気にしていたんではやってらんね」。農民魂が目覚めているのか。大地の恵みは放射能なんかには負けないぞという気概か。

近所のお宅。地震で家が傾きました。復旧作業が毎日繰り返されています。業者の人達も一日放射能の中。しかも土を触る、触る。意に介していないようです。

ホームセンターでは庭に植える花が飛ぶように売れているそうです。土壌が汚染されているはずなのに花を植える。自分の手で。花に癒しや力を貰おうとしているのかも。素晴らしい花壇が出来ることを祈っています。

今朝の朝日新聞の歌壇に栃木県下野市の女性の歌がありました。
「いなさ吹けば放射線量増すという 真野の萱原(かやはら)夏は来向かう」。南相馬市にいる兄との電話で浮かんだ歌だとか。この女性ももしかしたら避難していった人かもしれない。

「いなさ」とは南東の風です。原発から南相馬や葛尾、飯舘に吹く風です。真野とは南相馬市の昔の地名です。万葉集にある句。「みちのくの真野の萱原
遠けども 面影にして見ゆというものを」。この句を踏まえて作られたのではないかと選者は解説しています。

短歌が持てくる風。五月の風を心地よきとは言えない人のあること。

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