田中角栄語録に今を言い当てたような面白い語録があります。
「世の中には他人様の噂話、伝聞をいつもポケットに入れ、それを放出することで、一日が回っているようなアホがいる。自分の言葉の無いのは寂しいことだ」。
田原総一朗をして言わしめた「ツイッターの神々」は、田中角栄の時代を遥かに超えて、噂、伝聞どころか、デマ、誹謗、中傷、与太話の類が毎日飛び交い、放出され、それを一日の生業にしているような人達がいる。
拡散希望、緊急大拡散などと銘打って。扇情に次ぐ扇情。
「拡散」。この言葉は、爆発以降、福島県民にとってはもっとも嫌な、忌み嫌う表現なのです。
3・11後、ツイッターでまともに受け入れられ参考になった情報は、チーム中川など少数の学者。それに毎日新聞記者の言辞だけだったかと。
だからか。今も気心知れた、信用、信頼できる人としたやりとりはしません。
反論、反撃したいツートは山ほどあるけど“無視”します。腹ふくるる思いはのこりますが、罵詈雑言の類と向かい合うのは無意味だと思い。
だからか。ツイッターの呼びかけで集まったというデモには、その根底に懐疑的なものを覚えるのです。
いったい、彼らの“ポケット”の中には何が詰まっているのかと。
郡山に「青い窓」という児童詩誌があります。そこに載せられている子供の詩を一つ。
「ポケット」
お母さんの エプロンの ポケットの中を見ると ボタンや はんけち 小さなえんぴつ ちり紙や ひもも はいっている そのほかにも まだはいっているポケットに手を入れて いそがしそうに はたらいている くしゃみをすると すぐちり紙を出してくれる。妹のかおがきたないと はんけちを出して かおをふく おかあさんのポケットではない みんなのポケットだ
お母さんのポケットにはいぎたない言葉は入っていない。
「トムソーヤのポケットには、たしか、オハジキと青いガラス瓶のカケラと、糸巻きで作った大砲と、カンシャク玉と、子犬の首輪が入っていた・・・」。
丸谷才一のエッセー「男のポケット」にある一節。
ここには子供の夢の“原点”がある。そして丸谷才一は喝破する。「男のポケットには、まだ冗談や世間話が入っている」とも。
このエッセーが書かれたのが30年以上前。今のポケットには冗談や世間話とはとても思えない“悪意”さえ入っているような。
ポケットに入っているのは携帯電話だけなのかも。
2012年9月1日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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