世の中、ずっと昔からそうだろうが、功なり名遂げ。あるいは善政を施した、歴史に名を残した人には、名参謀と言われる人がいた。
昭和史でも然り。吉田茂には白州次郎という名参謀が居た。とにもかくにも、吉田茂が昭和天皇を守り、講和条約批准、その後の保守政権の基盤を作り、巷間いわれる「吉田学校」を作り、池田勇人、佐藤栄作という人達を育てあげて来た。それを彼らは保守本流と言ったが、池田にしても、佐藤にしても、それが在野の人であれ、参謀、名参謀を持っていた。
参謀は表に出ない。黒子に徹する。だが、しかるべき時に然るべきことを進言出来る。する。そこには全幅の信頼関係があり、ある意味友情もあった。
「名伯楽」という言葉がある。良い馬を見つける人というのが語源であり、転じて、目が利く人、才能を見出す人、人を育てるのが丈夫な人、といった意味である。
田中角栄は参謀として後藤田正晴を重用した。その言を入れた。中曽根康弘も後藤田を、内務省時代の先輩にあたる後藤田を三顧の礼をもって迎え、参謀を依頼した。
参謀を持たなかった、持てなかった竹下はそうしたか。常に言う。「司、司に任せてある」。
小泉純一郎には飯島勲という参謀がいた。彼は、広報戦略に長けていた。小泉人気とは飯島戦略で成り立っていたと言ってもいいのかもしれない。
うんざりかどうかはともかく、とりあえずは民主党代表、すなわち総理大臣。その後の選挙結果いかんでは自民党総裁。この国のリーダーをめぐって、「争い」が盛んだ。
民主党政権。三代目の野田。いずれも「参謀」を持たない。居なかった。内閣官房参与などという肩書は連発したが・・・。
なぜ参謀を持ち得なかったか。裏切りを恐れたからである。明智光秀を恐れたからである。しかし、名参謀は裏切らない。裏方に徹するのをよしとする。
人にはそれぞれ、持って生まれた「器」というものがある。大将には大将の器足るべき器量が備わっていた。家老は家老に徹していた。分をわきまえないことは考えなかった。
度量を持った大将、それを支え、的確なアドバイスや助言、それを出来る参謀がいて、集合体はそれなりの意義を持つ。結果を出せる。参謀だからこそ出しうる知恵がある。
政治の世界だけでは無い。企業に於いても然り。しかし、企業のトップも敢えてそれを拒む。それが現代の風潮。
瀬島隆三は名参謀だった。人脈、多岐にわたっていた。
福島県知事に名参謀はいるのか。いない。復興担当大臣に、原発担当大臣に参謀はいるのか。いない。いるのは「官僚」だけ。
よき首相よりもよき参謀は出ないものか。いないものか。分身たりうるような。
昨夜、見てしまったNHKのドラマ、吉田茂。つまらない下手くそなドラマだけど、見てしまって思ったきょうの日曜妄語。
2012年9月16日日曜日
“チェルノブイリ”異聞
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