日本の広告費の総額は去年、大震災で落ち込んだよはいえ、5兆7千億円台。巨大産業といえるかもしれない。たぶん、そのうち6兆円産業になるだろう。
ここ福島の民放局の営業担当役員をやっていた時、5兆円産業と言われ、テレビは2兆円と言われた。
年末年始の挨拶。それは広告代理店に行くことから始まる。東京、大阪、地元。東京、大阪、それはひとへに大手代理店。電通、博報堂、ADK、そしてその他・・・。
民放局にとって代理店は“神様”。新聞や雑誌にとってもそうなのだろう。たとえば電通にはラテ局、新聞局という組織があることからしても。
親友に地元郡山の代理店社長がいる。彼と会うと必ず口にする言葉。「またやられたよ電通に、博報堂に」。
彼の会社は地元では最大手である。3・11で大きな被害を受けた。社屋はともかく、広告が止まった。営業活動が成り立たない。会社を一時閉鎖し、従業員を自宅待機。数か月、なんとか急場をしのいだ。賠償金や助成金、補助金など、あらゆる手を探して、資金繰りをして。
そして、今も綱渡りだという。経営が。
5兆7千億。その大方は電通、博報堂など大手によって作られた数字。大手広告代理店の意向には、民間放送は逆らえない。
クライアント(広告主)と代理店と媒体と。その相関関係はある意味複雑多岐だ。
代理店が扱う広告主、クライアントはCMを流す企業だけではない。政府や自治体も、幅広い意味での広報・宣伝を広告代理店に“丸投げ”する。
テレビやラジオに関する広告は「電波料」という。そこで収入となるのは電波料と言う名の手数料。おおむね20%。
政府広報や、告知、宣伝はそのまま代理店の収入。
福島の除染事業。大手代理店がほとんど介入している。業者も東京の大手が多く参入。
朝日新聞も時々いい記事書く。原発とメディア。そこに垣間見える代理店の存在。そして、今の連載、プロメテウスの罠。がれきの行方。きのうから始まった広告会社を頼った。
やり玉にあがった博報堂。これは面白いし凄い。想像に難くないことだけど。
交わされる「文書」はまるで役人の文書の交換のようであり。
そう言えば、九州の方での原発を巡る意見交換会。そうだ、仕切っていたのは電通だった。
相変わらず「ムラ」「ムラ」の言葉が飛び交っている。
大手の代理店はテレビにとっては“神様”だ。その前にひれ伏す。政府も代理店をおもうがままに使う。
大手代理店だって立派な「ムラ」の住人じゃないのか。
キー局幹部の子息は電博に就職する。電博の幹部の子息はテレビ局に就職する。数え上げればきりが無い。
メディアの上に代理店が君臨しているかのような。やがて代理店はこの国の陰の支配者になるのかもしれない。いや、もうなっているのかもしれない。メディア攻撃を繰り返す方々、ちょっと代理店の存在にも目を向けてみたら面白いかもよ。