2013年6月18日火曜日

「白塗りお化け」の“怪談”

僕は彼女を白塗りお化けと密かに思っている。真っ白に塗ったくった顔。真っ赤な、口からはみ出しているような口紅。

その人の名は高市早苗。自民党の政調会長。

憲法問題で“過激な発言”をしていたと思ったら、突然「福島」にも言い及んだ。原発事故に。

新聞記事によるとこういう発言。新聞でしか知ることは出来ない。全発言を採録したものでは無く、“切り取り”ではあるはずだが。自民党の兵庫県連の会合での発言。

「事故を起こした東京電力福島第一原発含めて、事故によって死亡者が出ている状況ではない。安全性を最大限確保しながら活用するしかない」と原発再稼働を目指す考えを強調した。

事実がある。直接被曝して死んだ人はいない。事故直後、見回りに行った東電の作業員二人は津波に巻き込まれて死んでいる。

事故後、風評被害を苦にして自死した須賀川のキャベツ農家、相馬の酪農家。“原発さえなえれば”と遺書を壁に書いている。

双葉病院では避難の過程で入院患者50人が過酷な避難行や避難先で手当てを受けることもままならず亡くなっている。

厳然たる事実だ。原発事故による。直接被曝によって死んだ人がいなかったことを以ってして“事故によって死亡者が出ていない”と言ってのけるのは、詭弁であり、暴言であり、妄言だ。

女性の容姿をあげつらうことは失礼なことである。百も承知であえて彼女の容姿をあげつらう。なぜなら彼女が発した言葉は妄言そのものであり、厚く塗りたくった“偽装”の仮面の中から発せられた“素言”、本音だと思うから。

彼女はかって柳沢伯夫が「女性は産む機械」と言った時に猛反発した。生むことにこだわった。死者はないがしろにする。

人の死をなんと心得ているのか。戦地で散った“英霊”にはこだわる。原発事故が無ければ失われなかったはずの命。それは切って捨てる。

沖縄では多くの集団自決があった。集団ではないが、自死した人の胸の内をなんと捉えるつもりか。許せない。

仮設住宅の過酷な環境の中で、毎日のように病死している人がいる。過度のストレスによるものだと医者は言っている。原発事故による死者だ。

福島県選出の参議院議員、森まさ子さんのフェイスブックには今日の閣議後の会見という写真が掲載されている。
そのコメント欄に喜多方の人が丁寧に問いかけている。高市発言をどう思われますかと。そのコメントに4人の人が“いいね”と押している。森大臣からは返信のコメントは無い。

自民党員であり、内閣の閣僚として、複雑な心境であろうと推察する。コメントはしづらいだろう。しかし、何らかの反応はすべきだ。

国会が“開会中”であれば、この高市発言を野党は追及したかもしれない。
安倍は答弁を求められる。「私や、閣僚の発言ではございません。自民党は幅広い政党です。党の人が言ったことに対していちいちお答えするのはいかがかと思います」。多分予想される答弁。
自民党三役は総裁が決めた人事だ。

直接被曝によって死者が出なかったことをもって原発再稼働の“理由”とされる。論理のすり替え以前の問題だ。

官邸前のデモで大声でわめくどっかの女性党首と「反対」「賛成」という対極にありながら、なぜかかさなる“風景”とも見えてしまうのも亭主の妄言か。

死者に対して“怪談”は要らない。

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...