2013年6月29日土曜日

「ねずみ退治」を配るという光景

仮設にいる「ばあちゃん」から久々電話があった。川内村の例のばあちゃん。

「ちょっとご無沙汰したな、2~3日うちに行くから」と。その用はわかっている。お中元を持ってきてくれるのだ。

「こっちこそご無沙汰。なんだかんだとバタバタしていて」と詫びる。最近の様子を聞く。

「この頃は年中帰っているよ。日中だけだけどな」。70歳を越えたばあちゃんが、車を運転して、川内村と郡山を往復する光景・・・。

全村帰村を打ち出している川内村だけど、帰らない人も多い。この人の理由は「病院」、そして「買い物」。
でも、家は恋しいし、何より“手入れ”が必要。

「半日草むしりして帰ってくるんだ」と。「家に風を入れてくるんだ」と。

「ばあちゃん、ネズミは?」と聞く。「うちはいないけどな・・・」ちょっと口ごもる。ネズミにやられた家をあるんだと勝手に想像する。

なんで「ネズミ」のことを聞いたか。

知人が時々行っているバリケードで封鎖された道路の“検問所”。今、担当は大熊町の入り口だという。川内村のいわば隣だ。富岡に帰る人もいる。もちろん滞在時間制限の一時帰宅。

最近“検問所”で渡すことになったもの。それは「ネズミ退治」剤だとか。
自分の家に帰るのにネズミ退治剤を渡され、家を片付け、墓参りをして避難先にかえるという人たちがいるという光景。

“検問所”で断片的に聞いた話・・・
ネズミのことはもちろん、善意の動物愛護団体が置いてきた餌を山から降りてきた野生動物が食い荒らし、糞がすごい。

多くの家が泥棒に入られている。
除染作業員はどこか皆“粗野”で、やることが“手抜き“ぽい。

そこでのことを知人はあまり語らない。それとなく「口止め」されているらしい。
しゃべったことがばれれば“仕事”が無くなる・・・。
もちろん、それは“検問所”での単純作業だが。

“仕事”は一日5時間と決められている。もちろんそれは“線量”を考慮してのこと。

この“仕事”にかかわるようになって、見て、聞いて、知って・・・。知人は人生観が大きく変わったという。
“無欲”になった。原発事故前までは時々口にしていた身近のことへの“不満”を言わなくなった。

日本という国の中の福島県という中の一部の地域で毎日繰り返されている普通の人たちの光景・・・。

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