日常の話し。
買い物に行く。例えば目薬。例えば食品。いろんなものが並んでいる。選ぶのに迷う。店員さんは反応する。「こちら、今、人気があるんですよ」。
即座に答える。「いらない」と。
シャツを買いに行く。たまに。「今の流行ですよ。皆さんお買い求めになります」。
即座に断る。「流行のものなんていらない。みんなが着ている物なんて欲しくない」と。
流行り、人気・・・。皆同じがいいのかな。それが購買意欲を駆り立てることなのかな。
その癖、個性って言ってはいるのに。
誰かがその人に対して、いささか非難の意味を込めて何かを言う。「誰がそんなことを言っているの?」と聞き返す。返ってくるのは「皆が・・・」。
皆同じ、同調。見習っていればいい。楽なんだよね。知らず知らずのうちに「楽」を押し付け、「楽」に身を置く。皆と同じだということで安心する。
日本人の「空気」として、それが「是」なるものとされてきた。同調の空気がこの国を支配してきた。そして同調に慣らされていった・・・。
テレビの番組。視聴率が高いとほめそやす。そこからはやり言葉を作り、見ていない人に疎外感を与える。TBSのドラマの事もそうだ。
倍返し。なんて嫌な言葉だ。
NHKの朝ドラ、大河ドラマ・・・。しきりに人は話題にする。
見ない奴は“非国民”だといわんばかりに。
勝手にボクは勝手に思い込んでいる。「無意識の同調圧力」だと。
それらの番組を見たことが無い。「同調」したり、群れを為すのが嫌いなのだ。右へ倣えが嫌いなのだ。
皆がそうだから、皆がそうしているから・・・。皆の中に自分はいるのか、いないのか。
勝てば官軍、同調圧力の一つの歴史としての言葉。70年前の戦争、いやそれ以前から。戦争に協力することが正しいことだった。戦争に反対する者は「非国民」というレッテルを張られた。
同調圧力を跳ね返すべき新聞や言論機関も、その「空気」に呑み込まれ、より安全なところに身を置いた。
圧力に屈しなかった人たちは、軒並み「特高」にしょっぴかれ、拷問され、転向を迫られた。
いささか論理の飛躍があるかもしれないが、同調圧力は全体主義への道だとも思える。
安倍政権になってから、同調圧力という言葉が復権したような。いささか難解な、奇妙な言葉であるにもかかわらず。
同調圧力、多数意見や権力者の考えに同調を求めるようなことと解する。多数意見は少数意見を呑みこんでいく・・・。そういう圧力をかけるという現象。
同調圧力をキーワードにした「空気の研究」が、あらためて必要なのかもしれない。
「3・11」後、ある意味、日本は同調圧力のるつぼにあった。悪しざまにいうのではなく。
がんばろうにっぽんの掛け声のもと、多くの義捐金が寄せられ、多くのボランティアが被災地に入った。
東北支援をしない人は肩身の狭い思いをするくらいに。
福島県民は「風評被害」という言葉に、だれしもが“同調”した。
あの義捐金の行方は・・・。ボランティアは確固たる信念に基づいている人以外、多くの関心の外におかれているような。
ボランティアという言葉や行動は、確固たる市民権を得たのだが。その精神は無くしてはいないのだが。
同調圧力、それを醸成しているのは、メディアそのものだ。世論と言う名の報道や、コマーシャル、テレショップの類に至るまで。
新聞は特ダネを取るより特落ちを嫌う。みんな同じ報道だと安心する。
オリンピック招致劇は、まさに、メディアによる同調圧力以外の何物でも無かったように思える。
孤高の爺さんは「しんどい」な・・・と思いつつ。雑駁な話で。
2013年9月17日火曜日
“チェルノブイリ”異聞
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