2013年9月3日火曜日

オリンピックと「原発」と

「参加することに意義がある」。昭和39年東京オリンピックの開催。
その頃言われた「オリンピックの理念」。

スポーツの祭典、オリンピック。政治とは無関係なスポーツ。それも「売り」だった。

いつの頃からか。オリンピックをはじめスポーツの政治利用が始まった。

「国威発揚」。

オリンピック招致には“ロビー活動”が必須だという。ロビー活動の内容は定かにしないが・・・。

7年後、2020年のオリンピック招致を巡って大きなヤマ場。8日の早朝には開催地が決まる。

スポーツの祭典、オリンピックは大好きだ。1964年の東京オリンピック。興奮しながらテレビに見入っていた。その後も、4年ごと、いや冬季も入れると2年に一度か。

時差があってもテレビ中継にかじりつく。

幻のモスクワオリンピック。放送権を独占したテレビ朝日。ちょっとだけ、その動きに関与していた。社品として作られたモスクワオリンピックのライター。どこかにしまってあるはずだ。記念の印として。

原発事故を起こし、いま、汚染水問題が課題となり、それが7年後には解決しているという見通しもないまま、日本は、国を挙げてオリンピック招致に血道を挙げている。

猪瀬都知事は「原発とオリンピックは無関係」と公言する。得意満面でIOC総会の会場に向かった。はしゃいでいた。
彼は慎太郎の引きで副知事になり、知事の後継者になるまで、彼は、立派なジャーナリストだった。読み応えのあるノンフィクションも数多く書いている。
ツイッターで毎日自著の“宣伝”に勤しんでいたが。あの3・11の後。

君子豹変だ。ま、君子とは決して思わないけど。もし、ジャーナリストのままでいたら、作家のままでいたら、オリンピック招致に血道を挙げる国を、手厳しく“批判”していたかもしれない。

安倍も明日、アルゼンチンに行く。IOC総会に。それに間に合わせるようように、きょう、付け焼刃の汚染水対策を発表した。カネを出すという事。
470億円、今年度は予備費で210億円。
役人かお側用人が書いた紙を読み上げていた。
「場当たり的ではなく、抜本的な対策を実現する。この問題については国際社会が、世界中が注視している」と読む。

国際世論が、国際社会が、原発事故対応についての日本政府の及び腰、頼りなさ、それが、招致に向けての悪材料であることを知っているから。

だからきょうの日を選んだ。総会に間に合うように。あの“談話”で、懸念を表明する諸外国が果たして納得するのか。100人に上るIOC委員が納得するのか。

皇室も利用する。高円宮妃も総会に出席“させる”。妃殿下は招致には触れない。3分間だけ東日本大震災への復興支援の感謝を述べるだけという苦肉の策。

被災者までも“利用”する。

それまでしてオリンピックを東京に誘致する理由は何か。平和の祭典をもってこようとする魂胆は何か。

余談のようだが、きょうの対策発表に合わせて、東電の株価は、続伸しているという。

原発からドイツは撤退した。首相の判断で。国際世論の評価を高めた。
イタリアも国民投票で脱原発に舵を切った。

皮肉な思いで昭和史を振り返る。日独伊三国同盟を。再稼働に動く安倍政権。
こと原発に関しては、“三国同盟”は存在しない。

原発再稼働に動く日本への東京へのオリンピック招致。ドイツやイタリアのIOC委員はどう評価するのだろうか。

「我々は、東京オリンピック招致に向け、全力を挙げてまいりました。悲願でもありました。しかし、原発事故を起こし、結果、海を汚し、国際社会に多大な迷惑をかけてしまいました。その国の首相として、決断しました。
オリンピック候補地から撤退します。立候補を取りやめます。オリンピックに傾注するエネルギーを被災地復興に向けます。苦しみの中に暮らす国民のためにエネルギーを注ぎます。将来、原発問題が片付いて、真に誇れる国を取り戻した時に、改めて立候補します。その時は必ずご支援、ご支持をお願いします」。

紙を読み上げず、正面を向いて、こんな演説を安倍がしたら、歴史に残る、世界に誇れる名宰相と言われるのだが・・・。

そしてオリンピックの理念も変わった。時代とともに。
参加することに意義があったオリンピックが、勝つことに意義があるオリンピックへと。

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