「戻ろうという町民の心はどんどん折られている」。浪江町の馬場町長は言う。
「住民の“戻りたい”という気持ちを、どんどん萎えさせる」。双葉町の伊沢町長の言葉。
どんどん漏れ広がっていく汚染水。住民たちの帰還意欲を削いでいく。焦りと不満。
汚染水問題は喫緊の課題。そう言った安倍はどうしているのだろう。国費を投入と指示したままま。
除染を進め、帰還を促すと国。疑い半分ながらもそれに期待をした住民。
おそらく、汚染水漏えいは、まだまだ続くだろう。いくらでも発覚するだろう。
発見されるだろう。
もう東電の問題ではない。福島県だけの問題ではない。国際的問題だ。海外メディアの報道は手を加えない。手を抜かない。
今、福島県民を支えているのは「自らを律する心」だけなのだ。
折れた骨は繋げば治る。やがては。折れた心は治らない。
希望、希望と人は言う。希望とは目標があって成り立つものだと思う。
目標が無い、五里霧中の中で希望は持てない。希望がなければ心は折れるどころか喪失する。
凍土壁が出来る前に、心が凍る。
除染、帰還・・・。無意味なものにさえ見えてくる。
町長たちは言う。
「原子力工学や土木関係の専門家の知を結集しろ」と。「場当たり的な対策では無く、根本策を」とも。「世界の英知を集めろ」とも。
「帰還の前提となる事故収束への道を進んでいるというメッセージが発せられなければ」とも。
英知は結集されていない。メッセージはもちろん発せられない。
嘘でもいいから、“希望”が持てるメッセージが発せられるべきなのに。
一昨年と同じ、この国のリーダーの在り方。
心が折れかかっている人達もいる。タンクの作業にあたる作業員。自分たちがやっていることの意味を知っている。いわば無駄な努力だということを。
付け焼刃の作業に、当面を取り繕うだけの作業の日々。過酷な環境の中で。
あまりにも“建設的でない”作業の日々。
心が折れると彼らも言う。折れかかっている人もいる。
人は、自分たちがやっていることの誇りと意味を持たない限り、こころの支えを無くす。
希望、目標、メッセージ。それを発する、示すのが国と言うもののはずなのに。
2013年9月2日月曜日
“チェルノブイリ”異聞
ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...
-
新しい年となった。雪の中だ。 良寛の詩作を引く。「草庵雪夜作」の題名。 回首七十有餘年 首 ( こうべ ) を回(めぐ)らせば七十有餘年 人間是非飽看破 人間の是非看破(かんぱ)に飽きたり 往来跡幽深夜雪 ...
-
ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...
-
そう、あれは6月の初めだったか。 急に視力が悪く、パソコンの画面が見え難くなった。 脳梗塞で入院した時、最初に診察してくれた当直の麻酔科の医師が「白内障が出てます。手術した方がいいですよ」と教えてくれていた。 その後転倒して、それも二回。 CT 検...