2013年9月2日月曜日

「心折られる」

「戻ろうという町民の心はどんどん折られている」。浪江町の馬場町長は言う。
「住民の“戻りたい”という気持ちを、どんどん萎えさせる」。双葉町の伊沢町長の言葉。

どんどん漏れ広がっていく汚染水。住民たちの帰還意欲を削いでいく。焦りと不満。

汚染水問題は喫緊の課題。そう言った安倍はどうしているのだろう。国費を投入と指示したままま。

除染を進め、帰還を促すと国。疑い半分ながらもそれに期待をした住民。

おそらく、汚染水漏えいは、まだまだ続くだろう。いくらでも発覚するだろう。
発見されるだろう。

もう東電の問題ではない。福島県だけの問題ではない。国際的問題だ。海外メディアの報道は手を加えない。手を抜かない。

今、福島県民を支えているのは「自らを律する心」だけなのだ。

折れた骨は繋げば治る。やがては。折れた心は治らない。

希望、希望と人は言う。希望とは目標があって成り立つものだと思う。

目標が無い、五里霧中の中で希望は持てない。希望がなければ心は折れるどころか喪失する。

凍土壁が出来る前に、心が凍る。

除染、帰還・・・。無意味なものにさえ見えてくる。

町長たちは言う。

「原子力工学や土木関係の専門家の知を結集しろ」と。「場当たり的な対策では無く、根本策を」とも。「世界の英知を集めろ」とも。

「帰還の前提となる事故収束への道を進んでいるというメッセージが発せられなければ」とも。

英知は結集されていない。メッセージはもちろん発せられない。
嘘でもいいから、“希望”が持てるメッセージが発せられるべきなのに。

一昨年と同じ、この国のリーダーの在り方。

心が折れかかっている人達もいる。タンクの作業にあたる作業員。自分たちがやっていることの意味を知っている。いわば無駄な努力だということを。

付け焼刃の作業に、当面を取り繕うだけの作業の日々。過酷な環境の中で。
あまりにも“建設的でない”作業の日々。

心が折れると彼らも言う。折れかかっている人もいる。

人は、自分たちがやっていることの誇りと意味を持たない限り、こころの支えを無くす。

希望、目標、メッセージ。それを発する、示すのが国と言うもののはずなのに。

“チェルノブイリ”異聞

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