ノーベル平和賞を受賞した17歳の少女、マララ・ユスフザイさんは言っている。
「一人のこども、一人の教師、一冊の本。そして一本のペン。それで世界を変えられます。教育こそが、ただ一つの解決策です」と。
一本のペンも持たず、本も持たず、でも、教育を受けたいと思っている子供たちが世界にはいっぱいいる。
いっぱいの筆記用具を持ち、学校で学ぶだけでなく、塾に通わなければ大学に行けない子供もこの国にはいる。
「一本の鉛筆があれば、私は、あなたへの愛を書く
一本の鉛筆があれば 戦争はいやだと 私は書く
一本の鉛筆があれば 八月六日の朝と書く 一本の鉛筆があれば
人間のいのちと 私は書く」。
松山善三はそう書いて、歌に想いを託した。
一本の豪華な筆で、解釈改憲の閣議決定に署名した閣僚たちがいる。
もしかしたら戦争に加担するかもしれないことも、一本の筆で決まるのだ。
福島県知事選。あなたの一票が・・・と呼び掛けられる。
「原発」をどうするのか。はっきりした主張が薄らいでいるような選挙戦の中で、一票ということを考える。
県外避難者には、不在者投票用紙が配布されている。もらった人たちは戸惑う。
自分たちのことを誰も言っていないようだと。
記入をためらっている人もいる。投票しないという人もいる。
「俺らには関係ない選挙だ」と。
一票がこの県を、いささかは変えることにつながるかもしれないのに。
敢えてそれを”否定する”という避難者の胸中・・・。
一人が立ち上がらないと、一人が声を上げないと、世の中は変わらない。
その一票という権利が行使されるのだろうか。
はなはだ心もとない。
教育を受ける権利は、ほとんどの日本の子供たちは、いや、親も、教師も、教育関係者も、「当たり前」としている。
それが当然なのだが・・・。
嫌々学校に通う子供たちだっている。60年前の僕だってそうだったのかもしれない。
我々が手にしている教育の自由、教育を受ける権利。それは憲法によって守らられているものだ。憲法で、さまざまな権利が保障されているのだ。
「教育がすべての解決策です」。平和への願いを込めて訴える17歳の少女がいるということ。
マララ・ユスフザイという少女のことを、学校の場で、話し合われるのだろうか。教師と生徒が、その存在、訴えの意味を共有しあえるのだろうか。
突き詰めていけば「教育」をめぐる価値観の問題にも発展する。
一本のペンと十本の指とタブレット・・・。
ちょっとした合間。箱に一本だけ残っていた煙草をくわえ、こんなことを書いている“老人”がいる・・・。
2014年10月12日日曜日
“チェルノブイリ”異聞
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