木々もだいぶ色づき始めてきた。
秋の気配だ。空は高い。
誰にでも平等に訪れる秋。
郡山は大変な騒ぎになっている。「B―1グランプリ」が開催されているからだ。
今日と明日、いや、すでに昨日からも。
全国から40万人の人が訪れるということだから。
主催団体は「東北・福島応援特別大会」と位置づけ、震災からの復興ぶりを全国に発信する。新聞記事に書かれている。
その復興を誇示するのかどうか。駅から会場周辺までの道路はあっという間に整備された。
地元の人たちが道路の清掃活動にいそしんだ。
会場は笑い声と音楽に溢れていた。カラフルなのだ。なにもかも。
大人も子供も大喜びの様子。結構なことだ。
全国から59の「ご当地グルメ」というのが参加しているとか。
関連のイベントもあり、会場以外でも露店が出たり、街はまったくもって「お祭り騒ぎ」と相成っており。
家の近所のスーパーに行って驚いた。そこでもB-1グランプリ協賛企画と銘打って、焼きそばの類が売られている。出店ブースのだ。
主催者側も大変だろう。なにせ季節にしては暑かったし。
このイベントに合わせて、東京からもボランティアが手伝いに来ている。知り合いがいる。その中に。
ある企業が「3・11」以降、社員にボランティア活動を義務付けている。18人で郡山に来たという。
その子が持っていた書類の山。その中の工程表。昨日は早朝郡山入り。会場の設営手伝い、夕方からは駅前のパレードの“警備”と。
警備ってなにかと思ったら、「ようこそ郡山へ」という看板を掲げてパレードする参加者を“歓迎”することだったと。
なんか笑える。東京の人が「郡山へようこそ」って歓迎しているという光景。
夕食は「各自」となっている。各自だから当然、懇意にしていた知り合いを食事に誘う。
場所は。決まっているでしょ。郡山の美味い野菜をふんだんに味わえる店。こんなに美味しい野菜を食べたことなかったと喜んでくれ。
日頃は夜遅くまで仕事だという。まともな夕食はとっていない日々だったとか。
せめてもの「ねぎらい」。食わせて食わせて(笑)。
きょうは会場のゴミ収集係だとか。今晩は夕食に誘えない。集まりがあるから。楽しい議論の場があるから。知り合いの店だけ教えておいた。
偏屈な言いようだが、各自ってことは、街の飲食店でカネを落とせってことにもなるのかなって。
B-グランプリは今年が9回目。全国の町おこし団体59が参加。震災後の東北開催は初めて。ボランティア活動の目的にはかなっている。
そんな企業もあるということ。未だに三陸にボランティアを派遣し続けているともいう。
さてさて、この食の祭典、郡山市への経済効果ってどれくらいあるのだろう。
だれも教えてくれないが。
グランオプリは味や各団体の対応、パフォーマンスを加味してここぞと思うブースの箱に入れた箸の重さで決めるとか。
食べに行った人たちは、その「価値」をどこに置いて決めるのだろう。味か、活気か、呼び込み方か・・・。
満腹になったら、空を見上げて「哲学」してみるのもいい。何に価値観を見出したのかと。
「実存主義とB-1グランプリ」。美味いという価値をどこに見出すのか。
一興だとも。パホーマンスの美醜をどこに見出すのだろうかとも。
全国から来た人たちは郡山にどんな価値を見出してくれたのかも。
浪江やきそばは相変わらず大人気だという。
その浪江。町民の半数が帰還を断念した、諦めたという調査結果が伝えられていた。
“焼きそば”はどんな思いなんだろうな・・・・
なんか「泳げたい焼きクン」が浮かんでくる・・・無粋な爺には。
2014年10月18日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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