あれはいつ頃だったのだろうか。
フォークソングの全盛期だったのか。巷にあふれていた歌声。
「若者たち」という曲。
君の行く道は 果てしなく遠い
だのになぜ 歯をくいしばり
君は行くのか そんなにしてまで
君のあの人は 今はもういない
だのになぜ 何をさがして
君は行くのか あてもないのに
君の行く道は 希望へと続く
空にまた 日が昇るとき
若者はまた 歩き始める
この曲のメッセージは何だったのか。何の意味が込められているのか。
でも、まだ、この頃の若者たちはこの歌をひっさげ、歯を食いしばり、何かを探して歩き始めようとしていたように思える。
今、若者たちはどうしているのか。
「沈黙の砦」の中にこもってしまっているような気がしてならない。
就職難、非正規雇用。そんな話題の時だけ若者はメディアに取り上げられる。
彼らにこの国を変えようとする気概はあるのか。無いのだろうか。
選挙という簡単な、足を運びさえすればいい意思表示の場からも逃避している。
「どうせ、何を言っても、何をしても、何にも変わらないさ」。と。
明治維新、この国の姿を一変させたのは薩長の若者たちだった。
次元は違うかもしれないが、2・26事件で決起したのも若手の将校、兵士だった。
安保闘争、国会を包囲し、それを阻止しようとジグザグデモを繰り返していたのも若者だった。自分たちの動きで、国を変えられると思ってもいた。
全共闘世代の終焉。それは若者の時代の終焉だったのかもしれない。沈黙へと向かう道筋・・・。
スコットランドの独立をめぐる住民投票。街中で若者が議論を交わしていた。
投票率80%。
かつてあった天安門事件。学生が中心だった。
ウクライナ。若い民兵が戦っている。
香港、傘の革命。中国の押し付け選挙制度に、行政府の長官を選ぶ選挙制度。
若者が決起している。反対だとして。
目抜き通りを若者が埋め尽くしている。その動きは世界をも動かす勢いだ。
中国は神経をとがらせ、アメリカは若者を支持する・・・。
香港政府はデモの指導者と話し合いをする用意があるとした。頓挫している。
どう展開していくのか。
日本・・・。
毎週のように再稼働反対集会、デモがある。ドラム隊という中には若者の姿も見える。
しかし、集会の演壇に立つのは高齢者。
デモの先頭にいるのも高齢者。そう見えてしまう光景。
国の有り様をめぐる動きの中に、若者が、まるで神隠しにあったように姿がみえないということ。
若者が目を向ける、関心を寄せる問題が、あまりにも多様化しているからなのか。
いや、すべての若者がそうではない。それぞれが与えられた「使命」の中で、それぞれが自発的に探し出した「課題」の取り組んでいる人達もいる。
東北3県、被災地。その再生を目指して目を輝かせながら働いている人達もいる。
しかし、東京の街中を捉えた、さまざまな映像から見えてくる若者は、みな「疲れている」ように見える。
多様化する価値観。その中で「明日の自分」を見いだせないかのような若者。
でも、彼らにこの国の将来を託していかなければならない。
どうしたら「戦う若者」を取り戻せるのか・・・。若者だけが持つ「エネルギー」を発散させられるのか。
「若さとは若者だけが持っているには、あまりにももったいないものだ」。そんな古言があったけど。
学生運動が挫折してからか。サブカルチャーという言葉が出現した。その語意や、成り立ちは熟知していないが。
反意語はメインカルチャーか。ハイカルチャーか。呼び名や位置づけはともかく、サブカルには最初、既成の文化への「抵抗」があった。「反発」があった。
サブカルの中に、どんなジャンルの文化が包含されているのか。漫画、アニメ、音楽・・・。
アキバ系、オタク。それはサブカルとは一線を画した文化なのか。
今、若者文化の主流派「オタク」なのかもしれない。「OTAKU」と英字表記されるまでになった。
オタクの語源もよくわからない。誰ともなく言い出した表現。家に籠るという意味もあるのだろう。
だからか。若者は籠ってしまっているのかもしれない。自分たちの“文化”に耽溺することに意味を見出しているのかもしれない。
なんとなく思ったそんなこと。若者と話し合いがしてみたくなっている。
2014年10月4日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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