2013年7月8日月曜日

「異形の国 日本」

数年前か、作家の津本陽が書いた“伝記小説”。「異形の将軍」。言わずと知れた田中角栄を書いた本。サブタイトルは田中角栄の生涯。

異形という表現をどう解するかだが。顔面神経痛を患い、口がまがって、呂律が回らなくなったことを指しているのではない。

「角栄」を知ることは。この国の仕組みを知ることだ。小学校卒の革命的政治家として、永田町に君臨する。30年以上にわたって日本を支配し続ける。道路特定財源などの堅牢な「戦後システム」はいかにして作り上げられていったのか。著者の言である。

田中角栄が君臨していた30年間の自民党政治を、この国の姿を「異形」だと言っているようだ。それは決して悪意を持って書かれたものでは無く。

参院選だ。かつて良識の府とされていた参院を、いやゆる政党化し、衆院のカーボンコピー化したのも角栄によるところが大きい。

参院はかつては貴族院といわれた。“貴族”で構成されている議会だった。
その名残だろうか。通常国会の開会式が行われるのは参院の本会議場。なぜか。そこには天皇陛下をお迎えする“玉座”があるからだ。衆院本会議場には天皇陛下は迎えられない。

かつて参院の一大勢力は「参院緑風会」。文化人や外交官経験者など、利権、利害、政党にとらわれない議員がいた。たとえば佐藤尚武。終戦時のソ連駐在大使館の公使。ソ連、スターリンがヤルタ協定に参加。日ソ不可侵条約を破棄して対日参戦を決めたことを知り、いち早く日本に打電した人物。
彼の打電は軍部によって黙殺された。終戦の時期を遅らせた。

自由主義的気風を持った作家も議員としていた。昭和30年代までは。

二院クラブというのが登場してきた。市川房枝を頂く集団。それらはすべて消える。

選挙制度も変わる。個人名でなく政党名を書いてもよくなる。全国区では。
参院の“歴史”を今の参院議員がどれほど知っているのだろうか。
たとえば任期6年。参院に解散は無い。6年間はじっくり政策に取り組めということ。

なぜ参院の道を選んだのか。議員自身もはっきりした信条を持っていないような。衆院がだめなら参院があるさって感じなのか。

選挙民に至っては、参院の意味や位置づけすらほとんどが知らない。テレビの「街の声」なるものを見ていて愕然とする。中にはカーボンコピーだ。チェック機能だと言ったひともいたが。

参院を知らない人達が、その議員を選ぶということ。やはり異形なのかもしれない。

反原発の“旗手”、山本太郎という俳優が立候補している。彼が数日前、東京渋谷の街頭に立った時、多くの群衆であふれかえったという。
反原発を言う彼の論理はいたって不明確。福島を「貶める」こともいとわなかった。異形だ。

安部自民党。そう敢えて安部自民党という。異形の将軍を倒し、“改革”された筈の自民党。その自民党の“伝統”からもはみ出していくような安部だから。かつての派閥間抗争なるものは鳴りをひそめたが、自民党は決して一枚岩ではない。

ネット選挙解禁という。選挙が解禁されたわけでは無い。選挙運動にネットを使ってもいいということだ。ネット選挙活動解禁ということだ。
安部はネットを駆使している。たとえばフェイスブック。彼が何か投稿すると「いいね!」の数はいきなり何千の単位。コメント欄にはお追従が列記される。

福島の復興なくしては日本の再生は無いと言った。福島では。毎日の尋常ならざる日程の遊説。他所では福島のふの字もない。衣の下の鎧を出す。そう、憲法改正。憲法を改正して日本を取り戻すと。

福島でも「原発そのもの」については触れなかった。きょうはどこで何を言い、あすはどこで何を言うのか。

候補者は走り、走り書きをする。そこには「何をやるか」の政策論は投稿されていない。どこに行った。励ましただけのような。

なにか異形な選挙だ。自民党はたぶん大勝するだろう。そのあと・・・。どんな異形が待ち構えているのだろうか。

きょうはこれから東京。かつての田中角栄担当だった各社の記者との“同窓会”。
単に若かった時代を懐かしむだけの会に終わるのか・・・。憂国の論が交わされるのか・・・。みんな自民党にどっぷり浸かっていた人たちなのだけど。

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