除染。それは、今の福島をとりまく、合言葉のようになっている。除染がさまざまなことのあり様を決める。そして、その除染には、今や多くの疑問と怪しさと、思惑と、狡猾さと・・・さまざまなものが介在している。
全くの私事で恐縮だけど、郡山の地名や町内の場所を知らない人には恐縮だけど、これが“除染”をめぐる一例だと思って・・・。
ボクの家の住所は郡山市賀庄という。正確な地番表示は字賀庄。町では無い。行政区画としては。
道路一本南側は安積町。安積町の荒井第三町内会に我が家の近くの一角が入っている。
家の北側にある細い用水路。その向こうも地名は賀庄。通称長沼街道との間の地帯は賀庄。しかし、そこの人たちが所属する町内会は名倉町内会。
つまり、賀庄という地域は二つの町内会に分かれている。
荒井第三町内会第13班。16軒。そこに会長名での回覧が回ってきた。除染のお知らせ。7月12日に市役所の原子力対策直轄室というところから文書が発送されているとのこと。除染の日取りや説明会の案内が回覧されている。
荒井東側。そこに蛍光ペンで線が引かれている。案内は来ていない。
市役所に電話で問い合わせる。調べてもらうと賀庄は今回の除染の対象になっていないとのこと。来年度だそうだ。
とりたてて除染を求めているわけではない。もう測ったことは無いが、線量計の貸し出しはあるというが、測って何になるっていう心境。去年以来。
去年測った時は、0,2μシーベルトくらいだった。
除染があるならそれなりの対応を。と考えていた。去年、知り合いの市会議員、この辺が地盤の。間もなく除染がきますと言って草木の扱いなどの“説明”をしてくれていたが・・・。
町内会長がやっとつかまった。電話で事情を聞く。「細かい区域までは知らなかった」。「だったら市役所に聞いてはっきりした区域を伝えたほうがいいよ」とやんわり伝える。
10メートル先までは除染あり。こちら側は来年度。大きな通りを超えた安積町長久保という地域は除染の対象。市会議員の自宅がある区域。地盤。
事の経緯、計画の在り方聞いてふと思った。あの爆発以降、線引きされた20キロ、30キロ、強制避難区域の線引きの光景を。家の庭にロープが張られる光景を。
一昨年、4月。2ミリくらいの空間線量があった時、ビッグパレットに避難してきた川内村。線量は郡山より低かった・・・。とはいえ、川内村の山林に近い区域は未だ持って線量は高い。全村帰還を打ち出している川内村。帰村ははかばかしくない。
年間1ミリシーベルトにならないと帰村計画は進捗しない。まだ住民の三分の二は完全なる帰還は果たしていない。国は再除染はしないという。村長は独自に除染効果の検証を行うことにした。そのデーターを国に示し、具体的な除染計画を、実態に即した除染を行ってもらうために。
村や住民が同時に計測してデーターを提示しないと国は動かないということか。
市役所の説明だと隣の町内会。名倉町内会も今回の除染計画に入っていないという。名倉地域は子供の通学路がある。
我が家は来年度、郡山市内全域はいつになるのか・・・。
除染で庭の草木や芝生は埋められるかもしれない。そう思って“手入れ”していなかった庭や玄関。はてさてそうすっぺかな・・・。
ICRPの指針によって“決められた”年間1ミリシーベルト。毎時換算0,23μシーメルト。
それが果して正解なのかどうかはわからないまま、除染なるものを巡ってもろもろが動いている。それに翻弄されている。
国政選挙。除染について語る候補者の意見を聞いたことがない。感情的に反原発を声高にいう人たちはいても。
決して投げやりでいうのではないが、なんか「ばかばかしい」って気分にさえなってきた。
実りの無い、ほとんど無意味なような“除染”をめぐるやりとりで、きょうの半日以上は費やされてしまった。それを「ぼやく」のはボクが“安全・安心”な地域に住んでいるからか・・・。