この国はどっかで道を間違えた。間違えたことにどれだけの人が気づいているのだろう。
勝手に国家としての道しるべを立てようと躍起な人たちの群れ。
後戻りしようとする人たちを、脅迫まがいの“同調圧力”で囲い込もうとする“思考停止”の人たち。
選挙戦の真っただ中だから余計感じるのか・・・。
友人の家に立ち寄った。あった筈の駐車場が無い。工事車両が掘り返している。
駐車場のあった場所に大きな、深い穴が掘られている。
除染中という看板。
綺麗な庭だった。木が植えられており、奥さんが丹精込めて育てていた数々の草花。
そのままにしておいてほしい物にはリボンで印をつけておくのだそうだ。そうでないものは伐採。その穴の中に埋められる・・。
また数年後には掘り返すとかなんとか。その家の庭から潤いがなくなっていた。
事務所の隣は、金融業者がいた。数人が出入りし、明らかに“困窮”している人が、当座の間に合わせの“資金”を借りるのだろう。しばしば出入りしていた。
いつの間にかその“会社”の看板が替わっていた。人は同じ。
毎日朝夕、作業員が出入りしている。
気が付いた。除染業者をやっているのだ。
夕方、“日当”を受け取りにきているのだろう。作業員らしき人たちは。路上駐車が絶えない・・・。
人材派遣業者が“除染”に手を出している。作業員を派遣している。
労基法的にいえば「グレーゾーン」の行為。
その派遣業者の会社社長は、かなり儲かっているらしい。
郡山に限って言えば、一昨年は“除染”に手を出していた建設業者がある時からほとんど撤退した。利益にならないからと。
利益になるのは国が直轄している大手ゼネコンが“落とした”あのなんとか区域の中だけ。
除染をめぐる被災地の“トラブル”絶え間なく聞こえてくる。
国は責任を持って除染を行うと断言した。その方針は微妙に転換された。政権交代後。
再除染はしないと。
「1ミリシーベルト」をめぐる様々な矛盾。帰還困難区域は“解除”され、あるところは避難指示解除区域にされ、住民の帰還を促す。
住民は戸惑う。
1ミリシーベルトをめぐる“攻防”。再除染はしない。あとは線量計を各人が持って“被ばく量”を計測し、「自己管理」に委ねるという。
帰還を促す国や自治体。それに戸惑う住民。その葛藤が毎日のように繰り返されている被災地の光景。
「だれがやっても同じだ、選挙なんかに行く気も無い」。
その人たちに、「国民の権利と義務である」投票権の行使をせまることに“戸惑い”がある。
“棄民”に投票だけは訴えている光景。
なぜ冒頭に、「この国は間違えてきた」と、あらためて、今更ながら書いたか。
除染をめぐる話なのに。
為政者の、権力者たちの「心の除染」が全く為されていないと思うから。いや確信するから。
漠然とした話の中からくみ取って欲しい。この国の実相を。