そう、もうあれから半世紀になるのだ。東京オリンピックの時、1964年。夢の超特急、東海道新幹線が生まれた。
たしか、当時は東京・新大阪間が、新大阪まで開通していたか・・・3時間10分が「売り」だった。
新幹線。それは戦後からの急速な復興の象徴でもあり、早い事、スピードを是とする“価値観”に支配される始まりだったのかもしれない。
同じころ、今は老朽化が懸念される首都高も完成した。羽田から都心を結ぶ。
つまらない私事を書く。
開業運転に先立ち、報道関係者の試乗会があった。なぜかそれに“参加”した。
まさに驚きの乗り物だった。早い。
つい5~6年前まで、学生時代、全国をまわっていた頃、まだ蒸気機関車が走っていた。夏でも冷房なんて無い。窓は開けたまま。トンネルに入る。窓を閉め忘れると黒煙が、ススが社内に充満してきた。
トンネルのたびに窓の開閉。窓際に座ったものの役目(笑)。
新幹線が、浜松か静岡だったか。停車した。原稿を送りに駅の公衆電話に行った。
気がついたら、発車のベルが鳴っている。原稿の吹き込みもそこそこに列車に。
寸前でドアが閉まった。開けてくれと手を振った。開いた。飛び乗った。
おかげで新幹線は何十秒か1分か。発車が遅れた。
その模様は、テレビで中継されていた。
会社に戻ったら「新幹線を遅らせたバカ」という異名を頂戴した(笑)。
閑話休題。
先ごろ亡くなった理論経済学者の宇沢弘文さんはこんなことを言っていた。
「効率化」を求める風潮に絡めて。
「日本の狭い国土を広く使うのには、電車の速度を半分に落とせばいい。二つの地域を高速で結べば、途中の地域は捨てられてしまう。遅くすれば途中駅にも人が降りて栄える。つまりは広く使えるということだ」。
東海道新幹線から50年、今、話題になっているのが、東京と大阪を1時間で結ぶ「リニア中央新幹線」だ。
山梨、長野、岐阜。多くがトンネルだ。巨大なコンクリートが山を穿つ。穴をあける。
自然体系は見事に崩壊される。
完成はこれも東京オリンピック。2020年。
それほどスピードは求められるのか。欲しているのか。料金はともかく、膨大な建設費用。
時間をカネで買うということか。
人はすべからく速さを求めているのか。
片や、のんびり、ゆったりを謳った在来線の旅が推奨されている。鉄道会社の自己矛盾ではないのかなとも。
50年前の東海道新幹線開通と期を同じくするように、原発政策が躍起になって進められた。
経済成長とはこういうことなのか。
なんでも「速いことはいいことだ」ということなのだろう。
パソコンだってそうだ。サクサク動かないとフラストレーションがたまる。ストレスを感じる。パソコンは起動も含めて、ネットとのアクセスも速いほうがいいと。
速いことを良しとしているのに、なぜか、原発事故の時の情報の伝達、放射能の汚染情報。それが伝えられるのは余りにも遅かった。
なんだかな~~と。
年齢のせいか、時の立つのがあまりにも早く感じられる。だから「速さ」に関しての脅威があるのかもしれない。
今なお捜索、救助活動が続く御嶽山。噴火で落下し、襲いかかってくる岩石の速さは時速200キロ以上だったとも言われる。
「速さの違う時計」。そんな発想があってもいいのじゃないかととも。
アジア大会。水泳でも陸上でも、「最速」「最速」というアナウンサーの声が聞こえる。中継を見ている人は、自分も含めてそれを求めている・・・。
やんぬるかな・・・。
2014年10月1日水曜日
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