被災地のことは、あまねく全国に伝えなければなりない。そうあって欲しいと思っている。マスコミがどう伝えるかによって、被災地への、原発問題への関心が違ってくる。
木曜日、東北ローカル放送のNHK,被災地の声を見た余韻からなのかもしれないが。
被災地の声を被災地だけに伝えていても、それは「傷のなめ合い」。一時、多くのボランテアが被災地を訪れ、中にはその地に居ついて結婚し。そんな人もいるのだが。
多くは忘れ去られて行こうとしている。“原発問題”は、文部科学省の桜田副大臣が発言したように、それを「口頭での厳重注意」にとどめた官房長官の発言にも見られるように、「汚染されたゴミの焼却灰は人の住めなくなった福島県に置くべきだ」と本音を語ったように、福島県に閉じ込めてしまおう。そんな空気がこの国を覆っていると感じる。いや、事実そうなのだろう。
大きな要因は東京オリンピックの招致にあるのではないか。コントロールされている、ブロックされているという安倍発言がいみじくも語っているように。
きょうの毎日新聞を見て驚いた。東京 青空再び 1964 to 2020。
タイムスリップも甚だしく。そう、今日の新聞を包んでいたのは1964年の10月10日に夕刊紙面。“世界は一つ”いまここに。天高く美しく開会式。
そう、国民の祝日である10月10は、東京オリンピックを記念して設けられた祝日。それも“振替”で毎年の“日替わり休日”。
本紙の中に”付録“として、その縮刷版の拡大を入れておくならまだしも。包んでしまっている。
”原発”をオリンピックで包み込むなよ。
2020年の東京オリンピック、手放しでは喜べない。そのムードにはとてもじゃないが浸る気になれない。
プレゼンテーションなる物は「まやかしの舞台」だったとも思っている。明らかに原発の現状からして「うそ」なのだから。
なんで毎日が・・・。そんな思いだ。本紙の一面トップは汚染水漏れで6人被曝という記事。3面には関連記事。隔靴掻痒の感をぬぐえなくもないが。その解説記事は。
規制委員会が“苦言”を呈したと書いてあったが。
こっちも苦言だ。
オリンピックどころじゃないんだよ。こっちはね。
福島に届いた朝日新聞。一面トップは「みなし仮設入居延長へ。2015年以降も」。
首都圏版、最終版、縮刷版に保存されるのはこの最終版。そのトップ記事は「みずほ銀に追加報告命令」。みなし仮設の記事はその脇。
左右逆転の記事の扱い。
新聞の一面トップ記事に何を持ってくるか。読者の印象も違う。書いた記者の士気にもかかわる。
全国紙、中央紙が、全国ネットでテレビが伝えない限り、それは「風化」の一因になるのだということ。
両紙とも、良い記事を見かかる。たった一日の新聞の「出来」で、それを云々すべきではないだろうが。
読売。数日前の小泉純一郎発言、脱原発論への反論記事。これには開いた口がふさがらない。よくもまあここまで恣意的になれるもんだと。反論の態をなしていない反論。
朝日に寄稿していた。元日本原子力発電の理事だった人が。2020年東京オリンオピックへの限りない疑問を。
富岡町の出身だった人。
「2020年、原発はどうなっているのだろう。避難しているわれわれはふるさとに戻って五輪をテレビ観戦できるのだろうか。現状を見ていると7年後も大きく変わらないのではないか。開催を手放しで喜ぶ気にはなれない」と書いていた。
「安倍首相は招致で世界に見せたあの情熱を、福島にも示して欲しい」とも。
これを書いていた途中、来客あり。名乗らず。出てみると新聞の勧誘。読売と地元民友新聞の合売店主らしい。どっかで見かけたような顔の奴。
「社長、社長、助けてやってくださいよ」。手に持っている品物をかざしながら。お引き取りを願う。助けるために新聞をとるのではない。新聞には助けてもらいたいのだ。
その馴れ馴れしさと押しつげましさ。読売新聞がますます嫌いになる。販売店と紙面とは関係ないのだが。
昼下がりの亭主の周りの光景・・・。
2013年10月10日木曜日
“チェルノブイリ”異聞
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