論語にある言葉。「過ちては改むるに憚ること勿れ」。論語に接したことがある人なら誰でもしっている言葉。そして教え。
人は誰でも過ちを犯す。その過ちに気付いたら、誰に気兼ねすることもない。直ちに改めるべきだということ。
安倍はオリンピック招致のために大見得を切った。
「汚染水は完全にブロックされている。原発は完全にコントロールされている」と。
それを“鵜呑み”にした人たちは東京に票を入れた。招致が決まって国中が湧き返った。
ばかばかしい。コントロールされていない事態が続出しているではないか。
ここ数日の汚染水を入れたタンクからの水の漏えい。しかも高濃度。堰を越えて海に流れ出している。外洋に。
タンクが傾いていた。なぜ傾いたか。重量オーバー。つまりタンクの増設は追いついていない。タンク増設の動きが緩んでいるという話も聞く。
それを問われたお茶坊主、菅官房長官はこうはぐらかす。
「全体としてはコントロールされているという認識だ」と。言葉の使いわけも甚だしい。
コントロールされていないことは明明白白なのだ。
言い方をかえれば「嘘の上塗り」ってことにもなる。
ALPSはまたもや運転停止、それ以前にタンクのホースのつなぎ間違い。
東電に万全の対策をと指示し、東電はタンク回りの監視を強化した。人員を増やした。その結果汚染水漏洩が見つかる。なんと皮肉なことなのだろうとも。
多分、現場は疲弊し、士気衰え、人員不足、過酷な仕事・・・。
だから、論語の言葉を充ててみたくなるのだ。そして、「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」という類似語も。
この話は痛快だった。分かり易かった。小泉純一郎の「脱原発宣言」。菅は“言論の自由だ”と相変わらずのはぐらかしだったが。
猿は木から落ちても猿だが、政治家は選挙で落ちればただの人。それは政界の「格言」。
ただの人になった。選挙で落ちたわけではないが、出処進退をわきまえていた“小泉美学”とでも言おうか。政治家を辞めてはじめて見えたことと言えばいいのか。過ちを認めるに憚らなかった人。彼の“原発発言”への異論はない。まさにその通りと言いたい。
名古屋の講演で言い切った。脱原発を。
彼は在任時、原発推進派だった。それが「3・11」を経験して、原発擁護、推進は「過ち」だったと気づいたという。
その気づきは確信に変わった。ドイツやフィンランドを視察して。同行した原発推進を言う経済界の大御所にも「ダメだ」と一喝したという。
フィンランドで「オンカロ」という最終処分場を見学した。10万年核廃棄物を保管すると聞かされた。
「10万年だよ。100年じゃないよ。そんなことが現在の知識と技術で許されるのか。日本にはそもそも捨て場所が無い。原発0しかない」と。
毎日新聞にあった小泉語録を拾う。
「今、ゼロというのは暴論ではない。逆だ。今ゼロって方針を打ち出さないと、将来ゼロにするのは難しいんだ。総理が決断すれば出来る。あとは知恵者が知恵を出したらいい」。
「昭和の戦争だって、満州から撤退すればいいのに、出来なかった。原発を失ったら経済成長は出来ないというけれど、そんなことはないね。昔、満州は日本の生命線と言ったけど、満州を失なったって日本は発展したじゃないか」。
「必要は発明の母って言うだろう。敗戦、石油ショック、東日本大震災。ピンチはチャンス。自然を資源にする循環型社会をつくればいい」。
講演ではこうも言っている。
「原発ゼロは無責任だと言うが、処分場のあてもないのに進める方がよほど無責任だ」。
過ちを改むるに憚ること勿れ。それを実践しているとも、論語を実学に取り入れているとも。
小泉構造改革には大反対だった。郵政民営化にも大いに疑義を呈してきた。が、この原発発言だけには信を置く。
小泉政治への評価が「過って」いたかどうかはともかく・・・。
2013年10月4日金曜日
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