2013年10月31日木曜日

・・・そして新たな分断が生まれる

蛇の生殺しというか、なんというか。全村帰還、全員帰還を言い、除染でそれがどうにかなるようなことを言って来た国。

帰りたい、戻りたいと、メディアのインタビューには答えていた人達も本音は「帰れない」と思っていた。あるいは「帰らない」とも。

避難地域の広大な面積。広大な山林。それを「除染」するというのは不可能だと言ってきた。

あらためて書くのもなんだが、「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」。その三つの区域に線引きされた町村。線量によって。

すでにして除染費用は何百億円もが投入されている。除染の「完了」したのはどれくらいだろう。一割にも満たない。帰還困難区域は手つかず。

5兆円ともやがては10兆円にもなるとも言われる除染費用。

要するに、仮設暮らしが「精神的に限界」になる、「諦める」。そのことを、なんとかうまいことを言いながら月日の経過を待っていただけのこと。

国は事実上、「全員帰還」を断念させる方針に立ち位置を変えた。それはもっと早くに打ち出すべきことだったはず。

「何年かかるかの見通しを政府が示し、住民の判断材料にしてもらい、併せて移住による生活再建も示す」。

そんなどうにでもとれる表現の内容が示されるとか。遅すぎるのだ。疲れ果てるのを待っていたのだ。政治とはとかくそんな手を使う。

帰還困難区域には2万5千人の人が該当する。

簡単に言おう。もう帰れませんよ。除染は困難区域以外でやります。そこにカネを使います。インフラ整備も行い、早期帰還を後押しします。

待てよ、その区域の人たちだって帰らない、帰れないと言い始めているんだ。

除染にかかる費用を移住に充てる。困難区域の人たちへの賠償金も引き上げる。だから新居を購入してくれ。

もう遅いのだ。どこにその土地があるのか。不動産業者に探せというのか。

浪江町の町長は泣きながら言っていた。「分断させるんですね、悔しい」と。

一時言われていた「仮の町」なんていうのもとんと聞かれなくなった。復興住宅なんていうのも進んでいない。

ポーズと見せて、疲れ果てて諦めるのを待っていた。そうしか言いようがない。

除染の在り様はもう変えたほうがいい。業者だけが儲けている。事務所の隣にあった除染業者。儲かったのだろう。大きなビルに引っ越して行った。

国直轄の除染。大手ゼネコンだけが儲かる。欲を満たせる。東電の作業員だった人も、東電関連会社を辞め、除染会社に移った。

国が「集団移転」という方針を正式に決めたら、福島県の地価は急上昇するだろう。山林のところでも。

津波で仮設暮らしの人たちも、地域の人たちに“分断”が起きている。
高台移転しようにも、そこにあった土地は、所有者は東京の人。売買価格を東京の土地取引価格で提示する。一桁違う。

人が不幸であろうとなんであろうと、カネになることろはカネにする。

カネを中心に人間の欲望が渦巻き始めている。

自分自身の心を”分断“させ、住める家を持とうと決心した人も、おいそれと家が見つかるわけではない。建てられるわけではない。

除染にかかる費用を計算したら、移転費用に振り向けた方がいいという判断なのだろう。わかりきったこと。なぜ早くやらぬ。

どういう移転計画、移転作業が行われていくのか。もはや東電や国との交渉にもみんな疲れ果てている。
家族の規模、年代、職業の有り無し。百人百様なのだ。

国は国有地を開放するのか、銀行が不良債権として持っているマンションを買い上げるのか・・・。

おそらく、福島県内を希望するだろう。移転先は。見知らぬところには行きたくないはず。特に高齢者は。

そんな解決策、移転策を国が出来るとはとても思えない。今の内閣では。見せ掛けだけの復興庁。

原発難民が生まれた、生まれる。かつて自分の土地だったところを追われたパレスチナ人。彼らが住んでいるパレスチナ自治区。争いが絶えないのは「土地争い」。

福島に「原発難民自治区」でも作るのか。争いの火種にもなるそれを。

早くも県内の空き地や住宅地の「地上げ」に走っている欲ボケ業者が入り込んでいるとも聞く。

またまた怒りがマグマのようにたまっていく・・・。

“チェルノブイリ”異聞

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