2014年3月16日日曜日

「安全」なのに何故「避難」

缶コーヒーBOSSのCMに登場する宇宙人のジョーンズに話を聞いてみた。
彼は、やはり、この惑星に存在する人間はオカシイという。不思議な生物だと言う。

彼の持つ日本語の能力では理解しがたいことがまことしやかに議論されているという。


原発は再稼働に向けて動いている。原子力規制員会が作られ、そこで安全審査が行われ、安全基準に合致したものは再稼働認可にむけて動き始める。

原発施設のすべてのこと、そこの地層のこと、あらゆる装置のこと。もろもろを専門家という人たちが審査し、「安全」という太鼓判を押す。

審査、再稼働の合否。それを判定するのは委員の先生。しかし、その下書きは、各省庁から出向してきた官僚が、事務局という官僚たちが書く。
どこかでは電力会社とすり合わせながら。

「絶対安全」と認めれたものにお墨付きを与える。防潮堤の高さも当然審査の対象。そして「半径30キロ以内の避難計画策定」も最終的な再稼働決定の重大な要素。


「絶対安全」なものに、なんで事故を想定した避難計画が必要なのか。安全なら避難なんて考える必要はないのでないか。避難計画が必須要件ならば、そこは安全ではないのではないか。

ジョーンズはその論理的矛盾を指摘していた。

「偉い人たちが集まって、子供でもわかるおかしな議論を繰り返している」と。

日本の各地を見て来たジョーンズは言う。

「避難計画っていうけれど、何万人の人が一斉に避難するなんてことがかのうなんだろうか」と。たとえば1万人の人が一斉に車に乗って避難する。動き始める。どこの町でも地域でも、道路は日常生活の人の動きに見あったように作られている。そこの住民が一斉に動くなんてことは想定して作られていない。

原発事故が起きる主因は地震だ。地震はあらゆる道路も破壊する。車は動けない。自衛隊の大型輸送機を100機も持ってきて、人を運ぶのか。そんな飛行機は無いはずだ。千人単位の人を収容出来るような。

仮にその30キロ圏内から脱出出来たとしよう。どこにその人達を“収容する”のか。そんな暮らしの場所はどこにも確保されていない。とにかく逃げろっていうことだけか。

どこかに「避難者用の町」を万の単位の人が住める場所を作っておかなかればならない。そりゃ無理だ。狭い日本、そんなに急いでどこに行く。そう言っていたじゃないか。

ジョーンズは吐き捨てるように言う。

放射能が一杯の地域に逃げ遅れた人を誰が助けに行くのか。「私なら御免だ」とジョーンズは言う。

「おかしな物に手を染めて、そこから甘い汁を吸い、先生方の安全と言うお言葉をあえて信じ込んでいこうとする。ばかばかしい」とも。

「避難計画があるということは危険だということ」。避難する方途を考えるよりも、予期せぬ事態が完全に起こり得るということも考えたら、その大本を“忌避する”。それがまともな事なんじゃないかな。少なくとも我々宇宙人ならそうする。

マスコミという職業に居る人たちも、目先の論議だけに惑わされて、そこにある本質的疑問に触れようともしない。
たまさか「学問」を身に付けたこの惑星に住む人達は、自己矛盾だらけの議論に酔っている。

缶コーヒーでも飲んで一服して考えてみればいい。

ジョーンズはそう言い残して次の惑星に向って行った・・・。

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