またも新聞の歌壇の句を引用させてもらう。先日あった一首。
「“国益”の連呼の時代は危ないと 戦前を知る祖父嘆きおり」。
国益って何だろう。戦争を知らない子供達、孫の世代。その世代の人たちに尋ねられたら何とこたえればいのだろう。
領土争い、主権の行使。それも端的に言った「国益」なのだろう。
戦前、多くの軍隊や日本人は、満州に行った。満州は「日本の領土」と考えられて時代。満州進行が、満州事変が無ければ、“敗戦”だって無かったのかもしれない。
敗戦の結果、南樺太、北方4島はロシアに獲られた。たしかにその以前をたどれば日露戦争の結果の“戦利”であるかもしれないが。
尖閣、竹島。領土問題。北方領土返還は国民の悲願。
緊迫の度を増すウクライナ情勢。明らかにロシアにとっては領土問題。
ロシアの大国意識の中にあるのは「国益のためなら外国に軍事介入出来る」。
まさかソビエト連邦の再来を願っているのではないだろうが、やはり“領土”と見える。国益は。
領土問題とは違うが、世界の警察官を自認していたアメリカも、時には国連の名のもとに、数々の軍事介入をしてきた。その時のアメリカの「国益」とは何だったのだろう。軍需産業だけは確実に“利益”という“益”を挙げたが。
米ロ冷戦が懸念されるとマスコミや専門家は言う。「冷戦」ならいざしらず「熱戦」になったらどうする。
折しも、日本国内では、「集団的自衛権」の問題をめぐって安倍の”暴走“が続いている。
もし、米ロあい闘えば、日本はどうするのだ。ロシアのウクライナ軍事介入に関して安倍の言辞は歯切れが悪い。
プーチンと5回にわたる首脳会談。秋にはプーチン訪日。そこで悲願の北方領土問題が”解決“に向かって動くのかどうか。
内実はともかく佐藤栄作は沖縄返還を成し遂げた。後世に名を残している。
北方領土返還が成しうれば、安倍も後世に名を残す政治家として歴史にその名は刻まれるだろう。
安倍政権の動きをアメリカは気遣う。「もし、日本が親ロ的な行動に出れば、日米同盟は崩壊しかねない」。そんな危惧を持つ人が政権内部にもある。
集団的自衛権論議には、なんとも「間が悪い」ウクライナ情勢。
“北方領土”を取るか、西側先進国との共同歩調をとるのか。
ただでさえ、“失望”見解をめぐって日米関係は「おかしな方向」に向かうのかもしれない。そんな“懸念”が言われている中で。
“原発戦争”で日本は敗れた。チェルノブイリからの強制避難を強いられた人たちもウクライナやクリミヤ半島に居住している。
それぞれの人にとって居住する場所は、言ってみれば「個人としての領土」だ。
福島にいる、福島から離れた「領土」を追われた人達。領土回復も、領土主権も放棄せざるを得ない状況。そこに「軍事介入」は無い。忘れられた“領土”として、名が残るだけなのか。
原発は最大の「国益」だった。
だから、冒頭の一首を演繹すると、市井の民の読みは深い。
2014年3月4日火曜日
“チェルノブイリ”異聞
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