2011年6月7日火曜日

福島県民の歌

全国都道府県、どこにでも歌があります。東京都だって東京都歌があります。
福島県には福島県民の歌というのがあります。

大震災後、テレビやラジオはじめ人が集まるところに流れている歌は「猪苗代湖ズ」という福島県出身のミュージシャンが歌う歌です。
♫I love you & I need you ふくしま♫
あまり好きになれません。特に歌詞が。ミュージシャンの表情が。これって個人の好き嫌いの問題。いいなと思った人はもちろん歌うべき。へそまがり亭主は即座に「なんだいプレスリーのパクリじゃないか」と言ってしまった。

福島県には福島県民の歌というのがあります。昭和45年に公募で出来た歌。

  ♪しゃくなげ匂う山なみに呼びかけよう若い理想をかざして
   あしたの夢がはてなく伸びる
   明るいふるさと福島をつくろう
   みどりひかるこの空いつまでもああ 福島県

   けやきの樹にしあわせの虹かけよう若い血汐を燃やして
   嵐をこえて雪崩に耐えて
   豊かなふるさと福島をつくろう
   ちから満ちるあしおと高らかにああ 福島県

   きびたき歌う尾根を背に手をつなごう若いあこがれむすんで
   町から村へひとつにみのる
   楽しいふるさと福島をつくろう
   こころあわせつち音絶やさずにああ 福島県

長々と歌詞を書いてごめんなさい。シャクナゲは県花。きびたきは県の鳥。

かつてはこの県民の歌がテレビやラジオから流れ、学校で歌われていました。いつの間にか”消えて”いきました。なぜだかわかりません。

郡山には郡山市民の歌というのがあります。これもあまり歌われていません。

たぶん、今の郡山の人たちに聞いても県民の歌も市民の歌も知らないという人がかなりいます。

亭主は”変人”なんでしょうか。どの歌も歌えます。歌を覚えました。

なぜか。歌の力っていうのを皮膚感覚で信じているからです。
小学校の校歌も中学も高校も。歌えます。歌うとその時代が蘇ってきます。

先日あった大学の郡山支部総会。恒例になっています。校歌と応援歌を歌うことが。一緒に歌ったからと言って、特別の連帯感がうまれるわけではありません。でも、みんなで同じ歌を歌うってことに心根の変化があるのです。

県民の歌。歌詞にはほとんど、どこでも「ふるさと」という言葉が使われています。亭主は福島県を故郷とは思っていません。感じていません。では、東京は。やはりふるさとなのではないかと思っています。それは幼少時の思い出がいっぱい詰まっている場所だからか。

他所者、流れ者の亭主がなんで県民の歌を覚えようとしたか、なんで覚えたのか、歌えるのか。「今、自分がいる場所が、立っている場所がふるさとなんじゃないか」。そんな想いがあるから。

今、福島県民が、こころを一つにする、いささかの縁(よすが)にする歌がと問われれば、やはり県民の歌ではないかと。

「この空いつまでも。嵐をこえて、雪崩に耐えて。つち音絶やさず」。

いろんな音楽家の人たちが激励に訪れてくれます。いい演奏や歌を聞かせてくれます。つかの間、避難所の人たちも含めて癒されます。音楽の力、歌の力は大きい。だから、四重苦に耐えて、せめてその場に居合わせた人たちが心をひとつにするためにも、県民の歌を演奏して欲しい。一緒に歌いたい。

アンコールで県民の歌をやってくださいと所望したひとがいます。にべもなく断られたそうです。知らない。楽譜が無いと言って。だって、あなた福島県出身でしょ。楽譜なんてすぐ手に入る。知らないっていうのはおかしい。

国歌、君が代ではないのだから。起立して歌わなくてもいいです。学校の先生は校歌を歌うときは起立すると思うけど。座ったままでいいんです。一緒に歌える歌を、共通の歌を歌おう。

郡山市内の防災無線からは昼、市民の歌のメロディーが流されます。朝と夕方は違う。お決まりの童謡。それもいいけど、県民の歌も流してみたらいかがでしょう。せめてメロディーだけでも子供たちの耳に届けてあげれば。

大オーケストラの伴奏で会場の県民みんなが県民の歌を歌う。きっとなにかしら”高揚”するものがあるのではないかと思うのです。

政治に力はないけれど、歌には力がある、音楽には力がある。

津波で家も家族も流された、大船渡高校の佐々木瑠璃ちゃん。彼女が海に向かって吹いていたトランペットの音。東京の人たちの心を動かした。その音に心を揺さぶられた。音楽家同士の心の通い合い。東京で、彼女のトランペットが奏でたザードの曲。負けないで。それが被災地に多くの楽器を届けることにつながた。そして、その楽器を手にした子供たちが、新しい「力」をきっと奏でてくれるはず。

もしかしたら、太古の昔から音楽というのがあったかも。言葉よりも昔から。

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