2014年5月2日金曜日

「いちえふ」にクールビズは無い

また今年も、嫌な言葉、が厭な言葉の季節になった。

「クールビズ」っていう言葉だ。

男がだらしのない格好になる季節だ。

事の、その言の本意かどうかはともかく、「衣食足りて礼節を知る」という論語の一節が想起される。足るというのは満たされているとことではない。整えるという意味だと解釈している。

このクールビズ。10年前から始まった“悪しき慣習”。

環境大臣が公募して、それを定着させた。いわゆる“省エネ”が目的だとして。

6月から9月の末まで。そう、その頃は「衣替えの時期」と言っていたのだが。

スーツ姿の男がネクタイをはずすだけ。だらしのない襟元。断固反対をしてきた。貫いてきた。
それ以前には省エネルックなんていうのもあったが。

「3・11」を機に、それは5月から10月の間とされ、「節電のため」がうたい文句。

電気は他ではじゃぶじゃぶ使っているのに。上着を着なくてもいいらしい。

気温は日々変化する。まだ東北の一部や北海道は寒い。朝晩は暖房も必要だ。

でも「お上」の“指令”。猫も杓子もクールビズ。

ネクタイをしないスーツ姿。“クリームを入れないネスカフェ”よりまだひどい。

みっともないんだよ。

デパートの洋服売り場ではこぞって「クールビズ、クールビズ」。
最近はシャツもそれなりにオシャレなものも登場し、当初のような間が抜けた格好ではなくなったようだが。

私は「古い人間」なのかもしれません。背広は、スーツは男の“戦闘服”だと心得ている人間です。

学生時代は一年中、学生服、制服で過ごしてまいりました。下着で調節、冬はコートは着ましたが。詰襟の学生服。

不良は襟のホックをはずしていました。襟元がだらしないと叱られたものです。家でも学校でも。

どうも今のファッションはネクタイをしていてもきちんと締めない。襟のボタンをはずし、ゆるく締めている。

ファッションって誰が決めるんだろう・・・。

無職になった今でも、ネクタイは着用しています。それは礼儀だと思うから。

服装で、人間の心がけも変わる。

だらしのない格好からはだらしのない発想しか生まれない。医者が常に白衣を着用しているのは仕事に対する矜持だとも思う。

和服で襟元を抜いてみたり胸元をはだけるのは素浪人の格好とされた。

軽装が省エネにはつながらない。どこもここも冷房は効いているし。

だいたいこの”制度“が出来たときは室温は28度に設定、そのかわり・・・っていうことだったはず。

5月で28度の日ってそんなにあるのかい。

まさかと思って辞書を引いてみた。あったんです。クールビズってのが記載されている。
「cool+business」って。「勤め人が職場で身に着ける夏の軽装を指す言葉。基本的にノーネクタイで背広の上着は状況に応じて着たり着なかったり。地球温暖化防止に沿った省エネルギー運動の一つ」って。

辞書にも登用されてる言葉。

「舟を編む」ってこういうことなのかい。

「いちえふ」「1F」。福島原発の事故現場。これから作業は過酷な季節に入る。

あの重装備。タイベックススーツ、ゴーグル、マスク。足元も襟元もガムテープ状のものでぐるぐる巻き。
クールビズとは無縁の世界。

何も原発作業員と同じ格好をしろと言っているのではありません。

それは彼らの、今の“戦闘服”。

就職活動をする学生は皆黒のスーツ。それをリクルートなんとかと言い、黒の中に個性が埋没され・・・。

私の時代は詰襟の学生服が就職活動のフォーマルなものだったのですが。


♪・・・曲がったネクタイ直させてね。あなたの背広や身の回りを・・・♪

こんな歌はもう誰もうたわないんだろうね。今日でお別れ。

ネクタイって個性を表現する男の“武器”ですらあったと思っているのだが・・・。

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...