2014年5月30日金曜日

「拉致」と「福島」

北朝鮮による拉致被害者、いや、それのみならず、戦後北朝鮮に残された日本人、特定失踪者の調査を包括的、全面的に実施することが合意された。

突然公表されてこのニュース。昨夜は多くの日本人がさまざまな思いでこのニュースに接しただろう。

僕もブルーリボンを持っている。最初は安全ピンでとめるまさに「リボン」。やがてバッジが出来た。襟に刺す。それを新潟の被害者団体の関係事務所に買いに行った。それを着用していた。

民主党政権になった。3・11があった。多分、菅もそうだったかどうか。少なくとも野田はいつもブルーリボンバッジを付けていた。

「飾りじゃないのよバッジは」。そんな事をここで書いた覚えがある。

とにかく拉致被害者救出に向けて動きが出た。それだけは事実だ。

再スタートであり、解決したわけではない。

なぜ、安部政権下で動き始めたのか。安部だから北朝鮮は動いたのだ。

かなりの“伏線”があったのだろう。集団的自衛権をめぐる騒ぎにも北は関与してこなかった。北の韓国に対する挑発行為にも安部政権は“控え目”な反応だった。
最初はアメリカに向けて打ち上げられたミサイルの迎撃が集団的自衛権の“論点”だった。昨今は韓国からの“救出”が論点にされた。


安部は「情」の政治家だと思う。「情」、情緒、感情、人情、情念・・・。一番訴えやすいこと。それを自衛権の話にまで事例として持ち込んでくる。

安部を“攻略”するには「情」を絡めるのが得策だ。そう北が判断したのだろう。そして、安部は拉致問題に一番精通した政治家ではあるし。

ほんと再調査をしてもらいたい。いた、あの国のことだ。すでにして、「全容」は把握しているはず。誰が何処にいるか、生きているか死んでいるか。国としてやった犯罪行為。知らないわけがない。

再調査開始と制裁解除。そのタイミング。人の命を手玉にとっての経済“援助”獲得。

解除のタイミング。難しい判断だろう。解除した後、「全員死亡」とでも調査結果として言われたらどうするのか。そんな偽計だってやりかねない。

はたして、あの、全く実態のわからない、ブッシュをして言わしめた「ならず者国家」をどこまで信用できるのかだ。
しかし、端緒をつかめれば、それで行かないわけにはいかない。

安部の「判断力」に期待するほかない。これとても「綱渡り“外交”」といえるのだから。

制裁解除。北がもっとも欲しがっていたこと。
こんな話を聞いたことがある。福島の事でだ。

「避難してきている人たちは、することが無いから、賠償金でパチンコばかりやっている。そのパチンコ屋は北朝鮮資本、在日朝鮮人がやっている。儲かるのは北ばかりだ」。

送金手段が無かった。制裁解除の中身によっては送金が可能になる。送金のノルマはかなり厳しい。そう北出身のパチンコ屋経営者から聞いたことがある。

今度の合意。キーワードは「人道的見地」だ。

人道的見地、人道主義から見て、今の福島はどう見えるのか。拉致被害者救出は大きな政治課題だった。福島の再生なくして日本の再生無し。選挙の時、そう「情」に訴えた人がいた。

拉致被害者の人達、望郷の念はいかばかりかと思う。近いが見ることが出来ない母国、故郷。なんとか生きていて戻ってきてほしいと思う。そのための僕のブルーリボン。

近くて見える故郷。でも帰れない故郷。それとても政治の力に頼る以外に無い。

海の向こうからの望郷。目と鼻の先にある望郷。引き裂かれて故郷。それはいずれも自分の意志ではない。どっかの「強制」によるものだ。

どこかで僕の中の「情」が重なり合う。

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