「成熟した国家」とされてきた日本。それがすべて否定されてしまった。
やはり「3・11」は、日本という国家の恥部を露呈させ、その未成熟さを再確認させたものではないか。そんなことをあらためて思う。
4年前と4年後の今と。結局何も変わっていない。国の“体質”ともいえることが。
4年前の郡山と「向き合う」作業にまたも取り組む羽目になっている。4年前の郡山が、頭の中で再現されている。その意味で僕の頭の中の時計は止まったままであり、いや、またも逆戻りなのだ。
それはまさに「イイコト」なのだが。
朝日新聞が「吉田調書」なるものを抜いた。政府事故調で述べた3・11後の1Fにあった事実。
爆発時、1Fの作業員が2Fに「逃げた」という。門田陸将が書いた「死の淵を見た男」では“避難したい奴は行け、止めない”と書かれていたが。60数名が、伊沢当直長はじめ、大方地元の人間は残ったと書かれていたが。
記事によれば東電の幹部社員も2Fに去ったという。
3号機が危険だという時、ドライベントをしようということになった。保安院は「情報統制」を敷いた。
偶然が重なりドライベントはなされなかったが、もし行われていたら、避難者の実相は今のようなものでは済まなかったはず。
「情報統制」。嫌な言葉があの時使われていた。
ただでさえ、スピーディー問題をはじめ、政府。東電の情報隠しが問題にされた。そんなことは意にも介されていなかったのだ。
朝日が言いたいのは「こんな政府の中で、電力会社の体質の中で、再稼働なんて許されるべきでことではない」ということなのだろう。
原発に関する不信は、ピークに達している。ドライベントに関する情報は福島県にも箝口令が敷かれたともいう。
原子力規制委員会の田中委員長は「吉田調書」は知らない、見たことない。見ざる、言わず、聞かざるだ。
そんなところが再稼働審査をしているということ。
不信は不信を増幅させる。
不信は、何事も解決の道には導かない。
ALPSが全面的に停止になった。汚染水処理はどういう行方をたどるのか。
高濃度汚染の水だけがタンクの中に溜る。
そこから漏れ出す可能性の方が安全保管よりも確実に高い。
コントロールなんかされていない。不信は増す。
その不信感の真っただ中で、地下水の海への放出が始まった。放出基準は下回っていうというが、もう、それに対する信頼も信用性も無い。
それしか汚染水の量を減ら手立てが無いとしてもだ。
福井県の大飯原発3,4号機の再稼働差し止め判決が原告住民の訴えを認めて、関電に差しめを命じた。
司法の独自性、健全性がかろうじて保たれた。
巷に蔓延した「フクシマ」に対する不信感は、あのマンガ騒動で、またもぶり返された。この4年間とは何だたのか・・・。
我々は無為の日々を送ってきたということか。
朝日の「抜き」は、かろうじて一部のマスコミがまだ情報統制下に無いことを伝えたような気がする。
朝日の記事が、朝日に対する不信を持つ人には、心地よいものではなかろう。
でも、一日、立ち止まって見た結果、どうも誤報ではないようだ。
国に対しての「不信」が増す。不信の坩堝の中で、我々はどう生きるのか。
小さなコミュニティーの中でもそこにいる人たちで不信がはびこり始めている。
信じることが難しくなった、出来なくなった。
この国はこれからどこへ行くのだろうかと。
ほとほと疲れている。でも、その疲れたからだに鞭打たねばならないということ。
2014年5月21日水曜日
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