「3・11」後、人間は自然に対して「畏敬」の念を持った時があった。いや「はず」と言った方がいいのか。
畏敬の念の前には、その恐ろしさに恐怖感を覚え、為す術がないことを知った。
そして・・・。
「自然によって生かされている」ということを思い知った。
放射能が自然に与えた影響は計り知れない。
その“事象”を列挙するまでもないだろう。
「化け物」としての核を制御できると信じていた人間。
危険な事象を抱えながらの1Fに対して「安全宣言」を言った政治家の傲慢さ。
人知の及ぶ範囲では無いにも関わらずだ。
汚染水問題がなんら解決していないにも関わらず「完全にコントロールされている」と言い放った現政権。
言えるはずもないことを、言うことが出来ないことを、言い放つと言う傲慢さ。
それは華麗な祭典である東京オリンピックを意識しての詐言だったとしか思えない。
「1Fの事は誰もわからない。だれもその実態を知らない」。
それしか言うべきことは無いはずだし、それくらいの謙虚さを持ち合わせていて然るべきだったのに。
人間だけでは無い。この地球というところに棲んでいる生物は。生物は自然の摂理そのままに生きている。
汚染された土地でも、そこが住めるところだと本能で察知したアリたちは、驚くくらいの鋭い頭脳を働かせ、巣作りをする。
やがて桜の季節がくる。桜は、それがどんな地域であっても平等に咲く。
山菜は自生する。すべからく自然の法にのっとったものとして。
山菜から10㏃、基準値(国が決めた)を越えた放射性物質が検出される。
すぐに出荷規制とくる。
100と110の差異は何か・・・。
勝手に、よくわからないまま、決めた数値で物事を判断する。一種の傲慢さだ。
犬の食中毒ってあるのだろうか。彼らは嗅覚と本能で、危険な食物は避けるはず。
三陸の海、瓦礫が大量に沈んでいる海。そこではすでにして、多くの魚や海中生物が棲みついている。新たな生態系を営んでいる。
いわき沖、相馬沖の海の中からは海産物が獲れる。海の汚染度はどうなのかはわからないが、そこに魚は生息していることだけは事実だ。
ぐだぐだは言うまい。
人間は自然の恵みを貰って生きているということなのだ。
土踏みという昔からの知恵で、土は固められ、麦は育つのだ。金子みすゞは“新しい”のだ。
人間に自然を破壊する権利は無いはずだ。でも、傲慢な人間は、例えば戦争のため、たとえばかりそめの経済成長の為に自然を、なんのためらいもなく破壊していく。
そのことの「無為」なることに、3・11は気づかせてくれたのに。
沖縄の辺野古の海には、巨大なコンクリートブロックが沈められ、サンゴ礁を押しつぶしている。
海の中にある生態系。サンゴが育む海の中の生態系。
それを壊すことはやはり傲慢だ。
「安保と基地とサンゴ礁」と。
どれを取るかと言われれば、躊躇なく「サンゴ」を取る。サンゴの立場に立つ。サンゴ礁の悲鳴を聞く側に立つ。
なぜ、生物学者という人達は、海洋学者という人達は、公然と怒らないのだろうか。それは「食」の問題とつながっているはずなのに。
あれこれ・・人間を傲慢にしたのは何か。勝手な「欲望」というしかないのかも。
日々、胸の痛むことを見聞きしながら、まもなく「原点としての3・11」を迎えるのだな・・・。と。
2015年3月3日火曜日
“チェルノブイリ”異聞
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