「集団的自衛権」をめぐる動きが急だ。驚くくらいに。どうも公明党の立ち位置もよくわからないし。議論のための議論が行われてもいるようだし。
そして、言葉の言い換えも、すげ替えも行われている。
集団的自衛権行使を容認する三つの要件というのがある。あるというより、自民党が、いや、官僚が決めたもの。
その中の一節。
「日本と密接な関係にある他国が攻撃を受けた際、我が国の存立が脅かされ、国民の生命・自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合い」。
密接な関係がある他国への攻撃。それと我が国の存立とがどう結び付くのか。
極めて非論理的な論法の展開だ。
なによりもわからないのが幸福追求の権利ということ。
ここで言う「幸福」って何をさすのか。どういうことを言うのか。曖昧すぎる言葉の弄びと言いたい。
“密接な関係”にあるアメリカのシンクタンクの調査では、日本の「幸福度」はいわゆる先進国の中では最下位だという結果もある。
内閣府の統計結果分析でも、例えば年齢別に追うと、高齢になるにしたがって幸福度が増しているのが、右肩上がりなのがアメリカ、対照的に極端に右肩下がりになっているのが日本という結果も公表されている。
昔、こんなCMがあった。
♪幸せって 何だっけ 何だっけ~。うまいしょうゆのある家(うち)さ。
うまいしょうゆはキッコーマン、うまいしょうゆはキッコーマン、キッコーマン♪
さんまが踊って歌っていた奴。
ちょうど、バブルと重なった頃だったか。たぶん、世相は「幸せ」というものの漠然とした疑念を抱いていたころだったのかも。その「空気」を敏感に察知したCMクリエーターが作ったものだったのかもしれない。
「幸せ」「幸福」「幸福度」。人によってそれぞれ違う。
カネが基準なのか、その他なのか。全くの個人的な感性の問題だ。
「戦争をするための理由」として幸福追求があげられるっておかしさ。
戦争をしなければ、人は、環境にもよるが「幸福」でいられるはずなのに。
あの戦争が終わった時、多くの日本国民は「幸福」を感じていたはずなのに。
政治家や官僚の日本語力が落ちていると思う。知性も教養も低くなっていると思う。
永田町、霞が関と飛び交う言語は著しく品性すら欠いている。
全くの定義の無い「幸福」ということの意味。その曖昧さ。
「幸福」というのは、人それぞれの価値観。今、安保法制の論議をしている政治家に聞いてみたい。
「幸福」とは何かということを。たぶん明快な答えを持っている人なんていないだろう。
ならば問う。福島県民にとって幸福とは何か。アンダーコントロールなどという曖昧な言葉が許されるのか。
一部を除いて、大方、恫喝に屈し、牙を抜かれたマスコミ。あなた達の幸福とは・・・。
せめてゲーテの言葉でも送っておこう。
「権力を批判しない者は悪魔に魂を売った者だ」。
悪魔は幸福をもたらしてはくれない。だけど“悪魔”が忍び寄ってくる気配・・・。
2015年3月7日土曜日
“チェルノブイリ”異聞
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