民主主義とは何か、どういうことか。あらためて問われると多くの人は即座に答えることは難しいだろう。
民主主義と言う言葉はあっても、その内容、理念、在り方・・・あまり考えてこなかったのではないかとも思う。
辞書にはこうある。まるで学校の教科書にあるような文言。
「権力は人民に由来し、権力を人民が行使するという考えとその政治形態」。
我々は民主主義国家に暮らしていると誰もが思っている。でも、その“正体”は複雑怪奇だ。
誰もが民主主義であることを疑わないのに、その考え方が違っているということ。
塾で「民主主義とは何か」という話し合いをしたことがある。
民主主義と聞いて何を思い浮かべるかと10数名に聞いた。瞬時の問いかけだったが、各人が思い思いの言葉を語った。
自由という人もいた。平等だという人もいた。勝ち取ったものという人もいた。
多様な価値観が許される社会という人もいたと記憶している。
普段、あまり考えたことのない、当たり前の、ありきたりの事をあらためて考えてみる。議論する。必要なことだったのではと。
その時、解答というか、民主主義とはこういうことだ、という見方は示さなかった。いや、示せなかったのだ。現実、それがあまりにもないがしろにされていると痛切に感じたいたからだ。
民主主義とはその国民に対して、あまねく公平であり平等であるべきことだと思う。それが権利だとかどうだとかを問わず。
民主主義は共有されるべきものだと思う。その“恩恵”を受けることに差があってはいけないことだと思う。
何を言いたいか。沖縄だ。そして福島だ。そこには民主主義が適用されていないように思えるからだ。
沖縄の問題、辺野古問題を始め米軍基地の問題。米軍基地を「共有」しようとする本土の人はいない。そこに押し付けたまま「オキナワ」を論じる。
ある意味卑怯な振る舞いだ。
原発事故による被害。それとても「共有」されるべきものであるはずなのに、「福島」に閉じ込める。
最終処分場など、県外に持って行けるはずは無い。国は、その民主主義の行動を怠るであろう。
だから問うのだ。この国にとっての「民主主義」とは何かということを。
議会制民主主義という言葉がある。制度がある。それが果たして機能していることなのだろうか。
多数決の論理。それは議会制民主主義の制度としての基本だ。しかし、その前段にある、選挙という、国民の参政権の在り方が、果たして公平、平等なのか。
多くの死に票を生む制度が民主主義に合致しているのか。
あげく、政界では「党内民主主義」という言葉もある。それは「議論を尽くそう」ということだ。結果に不満が残ろうとも、合意を見るために、それぞれが力を尽くしたという点で、ありうる形態だ。
言葉を変えれば、民主主義とは徹底した話し合いということにもなる。
安倍は自衛隊を「わが軍」と言った。自衛隊は軍ではない。改憲されない限りは。
それを追及されると、国際法の概念を持ち出すなどの手練手管を使い、わが軍発言を正当化しようとはかる。
論議がかみ合わなくなってくると「この言葉を巡って(不毛)な議論が続くなら、他の法案審議に影響するから、その言葉は使いません」とくる。
言葉は使わないと言った。でも認識は変えていない。議論を尽くそうとしない。
これが国会と言う場の中にある民主主義の、議会制民主主義の実態だ。
なにやら得体のしれない「民主主義」。民主主義という言葉が連日、どこかで言われている。でも、それが実体として何を指しているのか、その理念とはなにかということはさっぱりわからない。
ただ「民主主義」という言葉にだけ酔っているのではないかとも。
民主主義をめぐる戸惑いだ。
2015年3月31日火曜日
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