2011年4月7日木曜日

この国の姿 その16

昔、そう、20年くらい前か。東京電力に那須さんという人がいた。社長や会長を務めた人。仙台出身。なかなかの傑人と言われた。原子力発電所建設が華やかだった頃。

雑誌か新聞の別刷りか。那須さんと当時の朝日新聞の編集委員との対談を読んだ記憶がある。

「我が国には厳然として原子力発電に反対する勢力がいる。その反対勢力に負けたくない。だから絶対に安全な原子力発電所を作っている、作る、そうする」。そんな発言をしていたのを思いだした・・・・。

那須さんの言っていた反対勢力とは、日本社会党のことだったと思う。社会党を支持するグループだったと思う。菅が師事した市川房枝さんは、市民運動家としてどんな立ち位置にいたのか・・・。

反対勢力。やはり必要な存在だったのだ。日本社会党が政界の中で、選挙民によって”抹消”され、厳然たる反対勢力はいなくなった。無くなった。対談を目にしてからしばらくのこと・・・。

日本社会党の役目はマスコミがはたすべきじゃないのか。健全な反対勢力として。そんな事を当時、書いたか喋ってまわっていた事がある。

社会党を支持してもいないし、消えたのは歴史の必然と思うが。

しかし・・・。マスコミからは、新聞論調からは、徐々に原発反対の声が消えて行った。何があったのか。電力量確保という至上命題の前で目をつぶったのか、クリーンエネルギーとして認めはじめたのか。たまに原発に懐疑的な報道はあっても大勢にはならなかった・・・。

多分、多分、国家の大きな枠組みの中に組み込まれていったのかもしれない。民放テレビにとっては大きなスポンサーになっていたし。電力会社が。

そして、こんにちの事態。集中砲火のように東電を責め立てる。原発反対の大キャンペーンを展開しようとしているような。

反対勢力。頼りにならない菅政権。機能しない首相官邸。それに対する反対勢力は自民党か。原発に対して物を言ってこなかった人達。個々人は生身の人間であり、国難を憂いているのだろう。が、永田町という”避難地域”に入ってしまうと党利党略の権力闘争に縛られてしまう国会議員。”反対勢力”を取り込み潰し大連立を模索する菅。

政権延命だ、マニフェストがどうだ。最早そんなことはどうでもいい。それが国家百年の大計を誤らすとも思えず。
政争はアタナ方の日常。東北の、茨城の、千葉の・・・。民草は日常を無くした。住まいも無くし、飢えにも苦しみ、一滴の水にも苦しんでいる。無策の政治によって命が失われ、脅かされている。自然の草木も農作物も牛も・・・。

“チェルノブイリ”異聞

  ロシアがウクライナに侵攻し、またも多くの市民、日常が奪われて行く。 ウクライナという言葉、キエフという言葉、チェルノブイリ・・・。 そう、あの最大の原発事故を起こした地名の幾つか。 「チェルノブイリ原発事故」。1986年4月26日。 ウクライナの北部にあるその...