2011年8月13日土曜日

「こころの混乱」と僧は言う

陸前高田市の薪。京都五山の送り火に使われる予定だった薪の“汚染問題”。二転三転、微量の放射線セシウムが検出されたとかで結果使われないことに。使用中止に。

表皮1キログラムあたり1130ベクレルの放射性セシウムが検出されかからという。学者はコメント。「表皮だけを削り取った試料で検出されたもの、内部からは検出されていない。薪全体ならもっと下がる。薪500本を燃やしても二次汚染が問題になる数字ではない」と。

そう、おそらく日本列島の森林は多少のセシュウム“汚染”はされているはず。最近明らかになった汚染マップみれば予想の範囲。

例え微量であっても検出されたら使ってはならぬ。要は「科学」「数字」の問題。福島県三春町の僧侶で作家の玄侑宗久氏は言う。
「放射能とどう向き合っていくか。日本人が抱える心の混乱が出たと思う」と。福島県民も心の分裂がある。できるだけ取り除きたい心情と、気にしすぎたら暮らしていけない心情と」と。要は「心」「心情」の問題。

科学と心をどうやって一致させるか。おそらく一致出来ない。

薪が“汚染”されている。政府にしてはこれまた「想定外」とでもいうことか。なにせ震災後日本人が大好きになった「数値」「数値」。暫定どころか全く基準も指針もないのだから。すべて後手、後手。

友人に薪を扱っている人がいる。冬のストーブ用やピザ屋で使用する薪。だいぶ前、彼の「想像力」は薪にも及んだ。ベクレル計を入手して保管してあった薪を調べた。表皮からはやはり多量の線量が検出された。出荷自粛。表皮はがせば問題無しだったのだけれどその手間は計り知れない。とてもじゃないが採算とれない。剥がす手間考えたら。

それを県や国に申し出た。応対は無反応に近かったと彼は言う。考えてもみなかったと言われたという。しかし、専門機関での「数字」携えての問題提起。それ以降の対応は彼の元にはとどいていないという。これは福島県下の話し。もちろん30キロ圏内や飯舘,伊達方面のものではない。

やはり国は「無策」だと彼も怒る。
確かに“汚染”されていたとしよう。高田の薪。一夜だけの送り火。拡散されるセシウムで、どれだけの影響があるのか。

五山の送り火。営々として続けられてきた日本人の心の行事。暮らしていく、いかないという日常の問題ではない。たった人夜の魂の世界。
数字と心が咬み合わない。

薪は保管されるという。保管場所を云々されるだろう。陸前高田に持って帰ろう。「故郷」で燃やそう。薪は怒っている。燃やされる薪は紅蓮の炎となって怒りの火となって夜空を染めることだろう。

安心、安全だと思って住んでいる高級住宅街の暖炉をお持ちの皆さん。今年の冬、薪ストーブは使えませんよ。身体も心も温める算段をしておいてくださいよ。京都の冬は特段に寒いと聞く。

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