お盆。テレビも新聞も、いつものように道路のラッシュを伝えています。帰郷ラッシュ、帰省ラッシュ、そしてUターンラッシュと。
東北道を走る車。東北新幹線にのる家族連れ。いつものお盆とは違う「物語」があるようです。
地震と津波の被害を受けた宮城や岩手に帰る人達。すでの「ふるさと」の面影を失った故郷に震災後初めて向かうという家族も。
帰省してやることは実家の片づけや修復の手伝いだとか。子供達はどこで何をして遊ぶのか。
帰省、帰郷というと故郷に帰るということ。たしかに帰っているのだけれど、それは数日の滞在。帰るという字よりも行くという字をあてるべきか。
すぐに帰京が待っている。
帰京したあと、どんな物語を語るのか。
原発事故の町福島。そこにも帰省の家族が。
「放射能が怖いからどうしようかと思ったが、やはり帰ることにした。子供を緑あふれる野山で遊ばせてあげることが出来ない。でも帰るとこにした。「みんなここで生活しているわけですから」。
帰ってくるであろう子供や孫のために、放射能の地を離れない老夫婦もいることだろう。放射能の地で過ごす数日間。都会で暮らす人たちの心に、どんな物語が体験談として生まれるのだろう。
お盆の帰省ラッシュ。道中は苦行でも、その先には楽しみがあった。これまでは。今年の帰省は・・・・。
それでも人々は故郷を目指す。
遠くにありて想うもの、そして悲しく歌うものとしたくないが故にか。
混雑を避けて夜の高速道路を走る車のライトが迎え火、送り火のようにも見える。
北へ帰る人達の心には、まだまだ何年という数字の中での「行事」が続くのだろう。
混雑する駅頭でのありふれたテレビのインタビューに対する答えを聞きたくないような気がして。
語りたくない“物語”が多すぎるような気がして。
2011年8月14日日曜日
“チェルノブイリ”異聞
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