盆の行事もきょうで一区切り。それぞれの人がそれぞれの思いで亡き人の霊を弔ったことでしょう。
我が家の仏壇も元気そうに花が・・・・。
津波で流された“廃墟”。海の塩に浸かった大地。そこにも雑草が生い茂り、瓦礫のあいだから花が顔を出している。
人は雑草と一口でいうけれど、雑草にもそれぞれ名前があるとか。そこに住んでいた人、生きていた人それぞれに名前があったように。
被災地で育てた花を人々はお盆の祭壇に手向ける。
花。不思議ないきもの。死者の霊を弔うのは、手向けるのは花。
人見るもよし、見ざるもよし、我は咲くなり。世阿弥はそう喝破したけれど、折に触れ、人が願いを託すのは花。
花は花の使命を果たしている。最高の使命を果たしている。
花に特別の興味や関心があるわけではない亭主。そんな亭主でさえ、花に対して畏敬の念が湧く。
花も雑草も、自然そのものなのだと。誰が見向きもしなくとも、草や花は咲くところには咲く。水をやり、手を加えれば、それまたそれにこたえるように咲く。
放射能が襲ったのは人間だけではない。牛にも野菜にも。犬にも猫にも。そして花にも。
雑草が生い茂り、家の玄関への入り口さえ見えなくなった原発からの避難区域。どんなに線量が高くても花は咲き、草は茂る。
例えばひまわりでも、たとえば菜種でも、花は放射能に負けない。殺されない。自然の営みというこの荘厳な事実。
平成23年夏。被災地にとって特別なお盆。孫が帰ってくなかった福島のお盆。死者への思いに「区切り」をつけようとした被災地のお盆。
人間のさまざまな思いを託された花々。その思いの深さ、重たさにもかかわらず、花はいつものように花・・・。 饒舌でも寡黙でもなく。
2011年8月16日火曜日
“チェルノブイリ”異聞
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