2013年1月13日日曜日

新成人になったキミたちへ

郡山ではきょう、「成人式」の催しが行われています。メイン会場は、あの、避難所だったビッグパレット。
生憎の空模様だが、多くの新成人が集まってくるはず。

成人の日。それが制定されたのはいつだっただろう。多分、ボクが小学生になったばかりの頃に出来たような気がする。

だけど記憶の中では成人式に出席した覚えがない。たぶん、大学で部活に励んでいたからか。

長らく成人の日は1月15日と決まっていた。それも、いつの頃からか、何でも“連休”とうことで、多少日にちがずれ、今年、その日はあす1月14日。その日の前の日曜が成人式の日になった。

着飾った若者達が会場を埋め、さながら、同窓会のような雰囲気となるのかもしれない。いや、すでに先着した人達で、その雰囲気は作られているのかも。

一週間ほど前、郡山では、帰還困難区域の双葉町の成人式が行われていた。遠くの避難所から、仮設から来た若者もいた。皆、綺麗に着飾っていた。約50人の成人式。
自分たちの「町」で挙げられない成人式。胸中は複雑だったろう。

 「3・11以降、あらためて見えたものもあった。これまでは自分のことで精いっぱいだったが、これからは未来をつくるのは自分たちだという思いで生きていきたい」。そんな言葉を語っていた新成人がいた。

ビッグパレット以外でも成人を祝う会が行われていた。きょうは。

式典に参加した新成人の「誓いの言葉」で、郡山の若者は何を語るのだろうか。

参加したキミ達に伝えたい。まず、今、キミ達が居る場所は、1年10カ月前は避難所だったということ。
高校生だったはずのキミ達は、テレビでみたり、あるいは実際に足を運んで、あの時のあの光景を見ているはず。
そのことを記憶に刻んでおいてほしい。終生忘れない記憶として。

そしてキミ達の成人式は、成人の日は「特別な日」であるということ。
去年、成人式を出来なかった先輩達の分も含めて。

そして、特別な日、特別な年に成人式を挙げることになった“意味“を考えて欲しい。よく考えて欲しい。この時代に生まれて来たことも含めて。

キミ達には未来がある。その未来がどんな未来か。明るい未来とは限らない。
厳しいかもしれない。しかし、そこに立ち向かい、生きて行かねばならない。


キミ達が1年前に遭遇した出来事。それを「糧」にして行って欲しい。
キミ達の親の時代、いやおじいさんやおばあさんの時代が作ってしまった「負の遺産」を引き継でいかねばならない。

そう、キミ達は「とんでもないもの」を背負わされてしまったのだ。キミ達がかんがえなければならない問題は多すぎると思う。
大震災、原発事故、いじめ、就職、生活不安、将来への不安・・・。
それらをとことん考える時代にこの日を迎えたのだ。

キミ達の多くは「スマフォ」を持ち、ネット社会に生きている。ネットの頼っている人たちも多いだろう。それはそれでいい。しかし、ちょっとだけ、ネット社会から距離を置いてみないかい。

新聞を毎日克明に読んで欲しい。そこから何かを読みとり、考える素材にして欲しい。そして、月に一冊でもいい。本を読んで欲しい。読みながら考え、読み終わったら考え・・・。

キミ達の親や、ちょっと前までの先輩たちは、考えることを、どこかで止めてきた。考えることを止めたのにはそれなりの理由があるだろう。
だけどキミ達は考えることをとる戻す世代なのだ。「思い」だけではダメなのだ。

双葉の子が言っていた言葉を考えて欲しい。双葉の子達よりもキミ達は恵まれている。双葉の子は「未来をつくるのは自分たちからだ」と言った。
大人達が作った既存のレールに乗った未来では無く、自分たちでそれを作って行って欲しい。10代の2年間で、それらを十分に学んだはずだから。

我々大人達はキミ達に詫びねばならない。詫びながら未来を託す。身勝手な言い分かもしれない。

今、大人たちも分かっている。気がついている。3・11で10代の若者にどれだけ助けられ励まされたのかを。

そう。今日のお祝いはいっぱいお祝いしよう。そして明日からは、重荷を背負いながらも、自分たちを磨いて行って欲しいと。

こころから言う。新成人おめでとう!と。

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