彼は今頃、ピョンヤンのどっかにある豪邸か仕事場の中で、美しい妻とのランチを楽しみながら、笑みをもらし、愉悦の時間を過ごしているのかもしれない。
「俺の発する言葉で、おれが命じたことで、世界が揺れ動いている。俺の意のままに世界を操っている」と。
彼の周りには大型のテレビが、パソコンが、所狭しと置かれ、日米韓というもっか彼が“敵”とする国の様子をつぶさにチェックしていることだろう。中国の動きもチェックの対象だ。
ミサイルを発射する、核が搭載されている、核攻撃だ。懐柔策はあるのか、どう打開するのか・・・。慌てふためくさまを楽しんでいるのだろう。
そりゃそうだ。彼は世界に君臨する偉大なる指導者、金正恩なのだから。
日本のテレビは連日の北朝鮮報道。昨夜も何とかと言う“ジャーナリスト”が芸能人集めての学べるニュースショー、生放送。
今朝のテレビもどこの局をみても、北の脅威一色。
あげく笑えた。もし北朝鮮がミサイルを我が国に向けて撃ったら、どうやって身を守ればいいか。なんと小さいなマンションの地下に作られてシェルターの紹介。
本当に撃つのかどうか。誰もわからない。わからない。わからないけどそれへのコメントが流される。迎撃のシミュレーションも。
どうやって防ぐか。核の抑止力しかない。核を持てるよう軍事費を増強しなければならない。集団的自衛権を行使できるように、憲法を改正しなければならない。そんな議論が交わされている。
北に踊らされているのだ。「改憲派」のとっては、実は、この北の脅威は、願っても無い好機なのだ。正当化できる格好の材料なのだ。
北のいちいちの動向や発言に一喜一憂することはない。無視すればいいのだ。
だけど、無視されれば将軍様はイラツクかもしれない。
テレビが連日、何もわかっていないのに、推測、憶測交えて、専門家という人を呼んで、何かしゃべらせて・・・。大騒ぎ。
将軍様の思うつぼってことになるのではないかな。とも。
軍備増強にカネをかけるのであれば、原発はじめ被災地対策にカネをかけるべきだと誰かが言う。即答がある。核ミサイルが打ち込まれればもっと大きな被害が出るんですよと。
北のテレビの映像が毎日流され、そこでのアナウンサーの発言から“真意”を汲み取ろうとの分析もされる。
北をあなどっているわけではないが、東電幹部のまやかしの弥縫策を分析することに意を注いではいかがかと。
「核」という言葉は、今や日本人に限りない恐怖心を植え付けている。通称「タカ派」と言われる人は、むしろそれを好機と捉えている。
村上春樹の新刊、その帯にはこうある。「良いニュースと悪いニュースがある」。
もちろん、本の内容とは関係ないが、何が良いニュースで、何が悪いニュースなのか。
あの時もそうだった。真相を、深層を掴めぬまま、テレビはひたすら「煽っていた」なと。
水面下で進められている動きもあらはず。駄々っ子を静めるための。それは、全く伝えられない。