東北電力が東京電力に「損害賠償」を求めることにしたという。ある意味“痛快”なニュースである。
原発事故によって、双葉郡8町村への電力供給が無くなった。小高・浪江原発の建設が不可能になった。それにこれまでかかった“資金”の補償だとか。
東北電力の決算は大赤字である。株主総会で追及される。株主への言いわけにその補償を言うということらしい。
これを巡って東電は相変わらずのらりくらり、内容は承知していませんとの広報発表・・・。
マスコミのコメントが笑えるし、この人達は何を学んだのかとさえ思う。
「東電への賠償請求は驚きました。あれだけ一致結束していた電力業界が。東北電力の言い分もわかります。しかし、賠償すれば、その分、また電気代の値上げになったり、政府が支援機構にカネを増やすということになれば、それは我々の税金ですよ」というような。
言ってみればもはやあの事故は他人事。「東京人の感覚」でしか物が見られない。
全国で全国民で痛みを分かち合おう。もうそんな“発想”は無くなってしまったようだ。
「電力業界結束ひび割れ」。新聞の見出しだ。電事連と言う組織を作り、各電力会社は結束していた。そんな「先入観」が書かせているのだろう。
一昨年、電力の融通も埒があかなかった。どこの電力会社も自社の採算を考えていた。結束なんて実態は無かったのに等しい。マスコミの思いこみだ。
「東電」は各電力会社のスケープゴードなのだ。
結束ではない。お互いがお互いに気を使い合っていただけ。東電は東北電力に異常とも思えるほど気を使っていた。
例えば、あの事故の前まで、福島県内に民放には短い時間の天気予報番組があった。
「提供は東京電力と東北電力」とクレジットのついた。
広告料は東電が出している。しかし、東北電力の名前を入れるように指示される。そりゃそうだ。原発で使っている大量の電力は東北電力の電気なのだから。
負い目があったのかも。
今更ながらの話しだが、東北電力の電気を使って“生産”された電気は東京に送られている。滑稽として言えない。
双葉郡8町村は、あの土地ではほとんど電気を使っていない。今は。人がいないのだから当たり前。それで「減収」・・・。県内に避難した人たちは、その場所で電気を使っている。大量需要者の企業が無くなったことが大きい、コンビニなども。もろもろなんだろうが、なんとなく、理屈が合うような合わないような。
「結束」云々がニュースの主題なのか。現実に即した記事があって然るべきなのに。
型にはまった観点からしか報道出来ないということ。
最近聞いた話。東電の株価が上がっているという。アベノミクスなるものの“効果”だという。
一昨年、東電の株価がどうにもならないくらい下がった時、東電の端株を買った人達がいる。一株250円くらいで。
その中には、東電の株主総会に行って一言物申そうと買った人達もいる。
どれくらいの株数を買ったのかは知らないが。
カネだけのことで言えば、その人達は「儲かって」いる。
株価が上がったからと言って、それがアベノミクスのおかげだとして、原発再稼働を言う安倍政権にどんな感情を抱いているのか。
こんな話は何処も書かない、どこも伝えない。
最安値の時、東電の株を買い、兜町界隈をうろつき、日がな証券会社の店頭で電光掲示板を見入っている個人投資家と称するあの人達。
赤エンピツを耳にはさんで、場外馬券場や車券場に巣くっている人達の姿と重なって見えてしまうのは“貧乏人”のヒガミか・・・。
“先見性”があり、投機目的で、最安値の東電株を買った人は、とにかく“儲かっている”ということ。